【患者】50代後半 女性
【主訴】寝ている間の頚痛と、それに伴う頭痛や腕の痛みが辛くて眠れない。
【既往歴】頚椎症 筋緊張性頭痛
【現病歴】35年前に二輪車乗車中の交通事故で頭部、頚部、手を痛め、右頚部から肩にかけて痛みが残る。21年前に車で後方より追突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫で近医整形外科に7カ月通院。1年前に再び、車で後方より追突され頚部から腰部を痛めた。頭痛は1年ほど前から月に2~3度起こり、数日続くことが多い。1ヶ月前頃から就寝時に右前腕部に睡眠困難になる位の痛みが現れると同時に、手指関節に痛みが強く現れ、指全体に強張り感が出る。頭痛と腕の痛みの為、2週間前に近医脳神経外科を受診。頚椎症による緊張性頭痛、腕の痛みと診断を受けた。
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【現症】来院時の痛みの訴えは、第3頚椎(以下、C3)右側周辺の胸鎖乳突筋、右肩甲骨上縁周辺の僧帽筋、右上腕中央周辺の筋群(上腕二頭筋、上腕筋、上腕三頭筋外側頭)及び右前腕伸筋群(腕橈骨筋、長・短橈側手根伸筋、総指伸筋)。頭痛は左側頭部に発痛する(来院時無し)
【施術と結果】本症例の右前腕部及び手指関節の就寝時に増悪する痛みは、医師による頚椎症による緊張性頭痛、腕の痛みとの診断と、発症機転から、筋緊張による血行不良が要因であろうと推測した。目視、触察にて熱感、腫脹は見られなかった。また、左側頭部に発症する頭痛は左胸鎖乳突筋の筋緊張による血行不良が要因と推測したが、痛みを訴える右側の筋群の筋弛緩をもって経過観察をしようと判断した。
触察により①頚部C3高位右側周辺の胸鎖乳突筋に長さ約10mm、幅約3mmのしこりのような筋緊張と②右鎖骨近位の胸鎖乳突筋起始部辺りに長さ約12mm、幅約3mmのしこりのような筋緊張を確認した。同部位C3高位、鎖骨近位にそれぞれ約1分施術を行い①長さ約8mm幅2mm、②長さ約8mm幅約2mmの筋弛緩を確認した。結果、頚部の痛み10から8(NRS改変)、右腕の痛み変化なし。更に約1分づつ同部位に施術を行った結果。しこりが①長さ約5mm幅2mm、②長さ約5mm幅約1mmとなり、右腕に血が通った感じがすると患者さん主観で言われたが、頚部の痛みは10から7(NRS改変)と変化が少なく、右腕の痛みは10から9(NRS改変)程度だった為、施術箇所を右肩甲骨上縁周辺の僧帽筋、右上腕骨中央周辺の筋群及び右前腕伸筋群の痛みを訴えている部位と、就寝時に痛みが増悪することから、肩背部にも誘因があると推測した為、肩甲骨外側の大・小円筋も触察し筋緊張を確認。右肩甲骨上縁周辺の僧帽筋の筋緊張部位に約1分施術。結果、痛み10から0。次に上腕への血流に関係する大・小円筋の筋緊張部位に約2分施術。結果、右上腕骨中央周辺の筋群の痛み10から2(NRS改変)。右前腕の橈骨筋群の痛み10から5(NRS改変)。
次に右前腕伸筋群に対して約1分づつ合計約5分施術。結果、右前腕の痛み10から0(NRS改変)となりました。後日(施術より10日後)、就寝時の痛みは気にならない程度で、眠ることが出来るようになり、左側頭部の頭痛もまだ感じていないと報告を受けました。