【患者】50代後半 女性
【主訴】2ヶ月位前から首、肩凝りで常に重く、首を廻すと左首の付け根辺りが痛い。
【既往歴】ー
【現病歴】約2ヶ月程前から仕事でパソコン作業の時間が増え、それに伴い頚部、肩の痛みと鈍重感が出現し、以前は休むと改善してたがこの度は痛みと鈍重感が継続している。
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【現症】頚部の回旋可動域(以下、ROM)自動右回旋ROM約60°で第4,第5 頚椎棘突起より約4 cm程度左の筋周辺部辺りに痛みが発現する。頚部と肩部は常に鈍重感がある。熱感や腫脹はない。安静時痛は時々ある。
【施術と結果】本症例の痛みと鈍重感は約2ヶ月前から持続している事、熱感や腫脹が無い事から、筋緊張による血行不良が要因であると推察した。要因である筋緊張部位として、症状の訴えのある頚部、肩部、及び痛み鈍重感のある肩部直下の第12肋骨下部の周辺部、肋骨下部周辺部の筋緊張の要因と考える第2腰椎、第3腰椎(以下、L2,L3)の高位腰部側面から正中部にかけての筋緊張であると推察した。触察にて3ヶ所の筋緊張を確認した。
腰部側面からの筋緊張を緩める事で第12肋骨周辺部の筋緊張が緩み、第12肋骨下部周辺部の筋緊張が肩部までの筋緊張に繋がっていると考え、改善の一番の近道である腰部側面からの施術に時間をかける事を患者さんに説明し、施術に入る。まず頚部を右回旋時に左頚部の痛みの出現ヶ所を指先で示して頂き、筋硬結のような筋緊張を確認し、筋緊張部位に緩消法を1分位行った。
筋弛緩を確認し、結果痛みは10から7(NRS改変)と小さくなったが、回旋動作を行うと痛むヶ所が約2cm程度外側の左肩肩峰から約5cmのヶ所の僧帽筋周辺部になり、同部位に緩消法を、約1分行った。筋弛緩を確認し、痛みは10から6(NRS改変)と小さくなった。鈍重感は主観により2割小さくなった。頚部、肩部の痛み、及び鈍重感は残っているが、痛みと鈍重感の根本要因は腰部の筋緊張と考え、施術部位を第12肋骨下部の筋緊張部位に移行する。
第2腰椎、第3腰椎(以下、L2,L3)の高位で第12肋骨下部の腰椎起立筋周辺部を触察し、筋緊張を確認した。同部位に約5分緩消法を行った。痛みは10から4(NRS改変に)と小さくなり、主観により頚部肩部の鈍重感は5割小さくなった。
改善が確認できた為、頚部、肩部の痛みと鈍重感の根本要因と考える腰部側面から正中部の筋緊張を腰部側面からL2,L3高位の正中部に向かい緩消法を10分行った。痛みは10から3(NRS改変)と小さくなり、主観により鈍重感は約6割改善した。改善が認められた為、同部位に緩消法を更に約20分行い、筋弛緩を確認した。痛みは10から3 (NRS改変)と小さくなり、主観により鈍重感は約7割改善した。右回旋ROMは約65°と大きくなった。
「不思議ですが腰の筋肉がやわらかくなり、肩や首も楽になりました。」と報告を受けた。