【患者】40代後半 男性
【主訴】右膝と脛から足の甲の痛み。
【既往歴】変形性膝関節症、右目黄斑変性症、腰痛(20年)
【現病歴】5年前、運動後、数時間して急に膝に痛みが走り、近医整形外科にて変形性膝関節症と診断された。以降、近医整形外科、整体等に行っていたが、寛解と増悪を繰り返している。右膝屈曲時に関節内轢音がする。今回痛くなった当初(3週間前)は膝が腫脹し、関節水腫ようなものもみられたとのことだが、現在は無い。歩行時に右膝窩、膝蓋骨上縁に特に痛みを強く感じる。その他、右下腿前面、右足背部第4、第5趾間に立脚足底接地時痛あり。
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【現症】右膝窩に約2cmの隆起。右膝内側広筋の停止部(膝蓋骨の上縁内側)と思われる部位、右前脛骨筋上部内側に筋緊張。右甲第4趾と第5趾間の圧痛無しを確認。疼痛箇所には、目視及び触察により熱感や腫脹は確認できなかった。
【施術と結果】本症例は右膝窩、右膝蓋骨周辺の筋群、及び右下腿部から右足背部第4、第5趾間にかけての痛みを訴えており、半月板損傷や膝蓋大腿靭帯炎、膝蓋腱炎の可能性も考えられたが、触察により熱感や腫脹が確認できなかったことや、屈曲伸展動作時痛が無かったことから、痛みの要因は、右膝窩筋、右膝内側広筋の停止部、右前脛骨筋内側上部周辺の筋緊張による血行不良と考えた。
また、下肢の筋群を緊張させる要因として、腰部筋群の筋緊張も併せて推測した。先ず、痛みを訴える右膝窩の隆起部に約12秒施術を行い隆起が無くなったことを確認。右膝窩の痛み10から0(NRS改変)。次に右膝内側広筋の停止部(膝蓋骨の上縁内側)周辺、右前脛骨筋上部内側周辺に各12秒施術し、筋弛緩を確認。右膝蓋骨周辺及び、右下腿前面、右足背第4、第5趾間の痛み10から0(NRS改変)となった。余りに短時間で痛みが無くなったことに驚かれておりました。
何度も膝の寛解と増悪を繰り返すことから、腰部の筋群の触察を行った結果、腰部側面と上前腸骨棘周辺の筋群に硬い筋緊張を確認した。体表より押圧深約1cm。腰部側面の表層より正中方向に約10分施術し、押圧深約4cmになる。次に上前腸骨棘上縁の筋群に約10分施術し押圧深約3cmまで筋弛緩出来た。その結果、主観で右脚がとても軽く、楽になったうえに左脚も軽くなったと喜ばれて帰路につかれました。