【患者】70代前半 男性
【主訴】2年半程前から、左肩が激痛で上がらない。日によって少し上がる時もあるが痛い。
【既往歴】糖尿病
【現病歴】約2年半前から左肩関節屈曲・外転動作で強い痛みが発生し、関節可動域(以下、ROM)にも制限が有る。結帯動作にも制限が有り、上着を着る動作で痛みが増大する。
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【現症】左肩ROMは自動で屈曲約80°、外転約45°。結帯動作では左母指掌側面先端部(以下、母指先端)が左臀部に位置した状態で左肩関節に痛みが出現。近医整形外科を受診するも異状無し。
【施術と結果】本症例は、左肩関節に痛みとROM制限が有る為、左肩関節周辺の筋緊張が要因と考えた。
先ず、左肩関節屈曲位で左肩関節周辺を触察したところ、左大胸筋遠位部付近に強い筋緊張を確認した為、緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した結果、左肩関節ROMは自動で屈曲約100°と大きくなったが、外転のROMに変化無し。結帯動作では、左母指先端部が第5腰椎に位置したことを確認した。
次に、左肩関節外転位で最も緊張が強い左大円筋・左広背筋停止部付近から左肩甲骨外縁上部1/3付近に緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した結果、左肩ROMは自動で屈曲約110°、外転約60°と大きくなった。更にROMを大きくする為、同部位周辺に緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認した結果、左肩ROMは自動で屈曲約120°、外転約80°と大きくなり、左肩関節屈曲・外転動作での痛みは10から8(NRS改変)と小さくなった。左肩関節周辺の筋緊張の要因が腰部の筋緊張であることを理解していただく為、腰部側面に緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認した結果、腰部側面の押圧深は約2cmから約2.8cmと大きくなり、左肩ROMは自動で屈曲約130°、外転約90°と大きくなり、左肩関節屈曲・外転動作での痛みは10から6(NRS改変)と小さくなった。痛みとROM制限に変化が有った為、同部位に緩消法を約10分施術し筋弛緩を確認した結果、腰部側面の押圧深は約2.8cmから約3.5cmと大きくなり、左肩ROMは自動で屈曲約135°、外転約110°と大きくなり、左肩関節屈曲・外転動作での痛みは10から5(NRS改変)と小さくなった。結帯動作では左母指先端部が第4腰椎に位置することが確認できた。
主観により、左肩関節屈曲・外転動作での激痛は緩和し、約2年ぶりに腕が水平より上に上がると喜ばれた。