【患者】60代後半 女性
【主訴】14年程前から両方の股関節が痛くなり、1年前からは痛みで歩くのも大変で、鼡径部の下辺りを押さえながらごまかしごまかし歩いている。
【既往歴】-
【現病歴】約14年前から両股関節に痛みが発生。次第に痛みが増大し、約2年前に近医整形外科にて変形性股関節症との診断を受け、リハビリ等により一時的に改善するも、約1年前から再び痛みが増大し、現在は歩行時に両股関節に強い痛みが発生する。
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【現症】歩行動作の荷重応答期全般に左右それぞれの股関節に強い痛みが発生。特に左股関節の痛みが強く、右股関節の痛みは左股関節の7割程度。安静時には両大腿部前面に引張感有り。
【施術と結果】本症例は、歩行時の両股関節痛を訴えており、要因として両股関節周辺の筋緊張が考えられる。より痛みの強い左股関節周辺を触察したところ、左鼡径部中央付近の筋腱移行部周辺に強い緊張を確認し、緩消法を約20秒施術し、筋腱移行部周辺の弛緩を確認した結果、歩行動作での荷重応答期の痛みが10から8(NRS改変)と小さくなった。荷重時の痛みの改善が見られた為、引き続き左鼡径部の筋緊張部位に緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した結果、歩行動作での荷重応答期の痛みが10から6(NRS改変)と小さくなった。
この時点で右股関節の痛みの方が強く感じられるようになった為、右股関節の施術に移り、同様の流れで右鼡径部の筋緊張部位に緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した結果、歩行動作での荷重応答期の痛みが10から7(NRS改変)と小さくなり、左右の痛みは同程度となった。また、両大腿部前面の引張感は主観で約5割減少したと報告を受けた。
更に両股関節周辺を触察したところ、両上前腸骨棘付近に強い筋緊張を確認した為、緩消法を約2分施術し筋弛緩を確認した結果、歩行動作での荷重応答期の痛みが左右それぞれ10から4(NRS改変)と小さくなった。ご本人の完治を目指したいとの希望も有り、両股関節痛の要因として考えられる腰部の筋緊張を弛緩する為、腰部側面に緩消法を約15分施術した結果、腰部側面の押圧深は約1cmから約2.5cmと大きくなり、歩行動作での荷重応答期の痛みが左右それぞれ10から3(NRS改変)と小さくなり、両大腿部前面の引張感は主観でほぼ感じられなくなったと報告を受けた。
施術終了時には歩行時に鼡径部を押さえることなく歩行が可能となり、こんなに不安なく足を着くことが出来るのは久しぶりだと笑顔でお帰りいただいた。