【患者】60代後半 男性
【主訴】1年くらい前から長時間座っていると左の腰とお尻が痛くなる。立ち続けるのは大丈夫だが、座っていて立ち上がるのは辛い。
【既往歴】糖尿病、逆流性食道炎、高血圧
【現病歴】約1年前から、30分以上の座位姿勢で腰部左後外側から左臀部にかけて痛みが発生。最近では10分程の座位姿勢後の起立動作での臀部離床期にも同部位に痛みが発生する。飲食店での仕事中に立位姿勢を続けても痛みは感じないが、胸腰部前屈動作で同部位に痛みが出現する時がある。
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【現症】起立動作での臀部離床期に、第4腰椎(以下、L4)高位で棘突起から左外側に約7cmの部位と、そこから下に約10cmの範囲で痛みが発生。胸腰部前屈動作に可動域制限はないが、前屈約30°を越えると腰部左後外側から左臀部にかけて引張感が出現する。
【施術と結果】本症例は、長時間の座位と起立動作時に腰部左後外側から左臀部にかけて痛みが発生している為、疼痛部位の筋緊張が痛みの要因と考えた。
先ず、左臀部の疼痛部位に軽度の圧痛が有ることを確認した上で、起立動作での臀部離床期に痛みを訴える場所が腰部左後外側から左臀部にかけて広範囲にわたっている為、L4高位で棘突起から左外側に約7cmの部位の左腸骨稜周辺を触察したところ筋緊張を確認し、筋緊張部位に緩消法を約2分施術し筋弛緩を確認した結果、起立動作での臀部離床期の痛みが10から8(NRS改変)と小さくなり、左臀部の圧痛は10から0(NRS改変)と消失し、主観により疼痛部位がより深部に変わったと報告を受けた。左臀部の深部の痛みを取る為に腰部全体の筋を弛緩させる必要性を説明した上で、施術部位を腰部側面へと移動し、緩消法を約10分施術し筋弛緩を確認した結果、腰部側面の押圧深は約1cmから約2cmと大きくなり、起立動作での臀部離床期の痛みが10から6(NRS改変)と小さくなった。
痛みに変化があった為、続けて同部位に緩消法を約10分施術し筋弛緩を確認した結果、腰部側面の押圧深は約2cmから約2.8cmと大きくなり、起立動作での臀部離床期の痛みが10から4(NRS改変)と小さくなり、胸腰部前屈約30°以上で出現した腰部左後外側から左臀部にかけての引張感は主観により消失したと報告を受けた。仕事中も不安なく前屈姿勢が取れると喜んでいただけた。