【患者】40代後半 女性
【主訴】昨日の夕方起き上がった際に急に首の痛みが酷くなり、全く動かせなくなった。家事や車の運転が辛いので治して欲しい。
【既往歴】鞭打ち症、花粉症
【現病歴】約3年前に追突事故で鞭打ち症になった事もあり、時々、首凝りが発現。1ヶ月程前から肩凝り、首凝りが続き、来院の5日前から症状が悪化し、更に来院前日、仰臥位からの起き上がり動作時に頚部痛が増悪し、頚部可動困難となる。
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【現症】安静時痛は無いが首凝り、肩凝り感は現存する。頚部全体に自動運動痛並びに全ての方向に対して可動制限があり(関節可動域は計測せず)、特に後屈時及び右側屈時痛が頚部右側に顕著に現れる。他動運動では著明な痛みは無く、触察による頚部の熱感及び、目視による腫脹は確認出来なかった。
【施術と結果】本症例は、来院前日に発症した可動困難な程の頚部痛ではあったが、発症機転及び触察により確認した非熱感、目視により腫脹が確認出来なかった事から、痛みの要因は頚部の筋緊張による血行不良であろうと推測した。また、頚部後屈時、及び頚部右側屈時の痛みが顕著に現れる事から、これは筋の収縮時の痛みであり、要因としては単なる筋緊張のみならず、筋硬結の様な状態が現存するのではないかと考えた。
通常、頚部痛の施術は直接、発痛部位に施術するのだが、本症例は頚部が可動困難であり、更には痛みの要因である筋緊張が頚部のみならず、腰背部にまで広範囲に辺り、筋緊張度合いも強い為、先ず腰部の筋緊張を弛緩させる事により、背部から僧帽筋辺りの筋を弛緩させ、その後、直接頚部の施術をするという施術プランを考えた。
先ず、触察により、第2腰椎右側高位辺りの広背筋周辺の筋緊張を確認し、同部位に緩消法を約2分行い、筋弛緩を確認した。その結果、ご本人の主観として安静時の首凝り、肩凝り感が消失した。更に右第12肋骨の下縁の筋緊張部位を触察にて確認し、同部位を正中に向かって緩消法を約3分行い、第1腰椎棘突起から外側に約3cmの部位まで押圧深約1cm筋弛緩した。その結果、頚部の痛みは10から5(NRS改変)になり、主観で5割位の可動域になった(可動域は計測せず)。
そして、直接頚部を施術する事とし、ご本人に主観で自動運動痛が顕著に現れる頚部右側の部位を指差ししていただき、触察により筋緊張を確認し、同部位に緩消法を約30秒行い筋弛緩を確認した。
その結果、頚部の後屈時及び右側屈時の運動痛が10から3(NRS改変)と安心された様な表情で報告していただいた。更に、同部位に触察により筋硬結の様な状態を確認した為、緩消法を約1分行い筋弛緩を確認した。その結果、頚部の後屈時及び右側屈時の運動痛は10から0(NRS改変)と消失した。頚部の可動制限も消失し、家事や車の運転も出来そうと笑顔で報告いただき、再発予防(完治)の為、施術の継続を望まれ帰路につかれた。