【患者】
80代前半 女性
【主訴】
「右の股関節が痛くて立ち上がるのも辛いし、歩けない。」
【既往歴】
心臓弁膜症(手術歴あり)
【現病歴】
約3年前に心臓弁膜症の手術を受け、その後約2か月間入院した。入院期間中より右股関節痛が増悪し、歩行困難となったとの報告を受けた。
緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】
80代前半 女性
【主訴】
「右の股関節が痛くて立ち上がるのも辛いし、歩けない。」
【既往歴】
心臓弁膜症(手術歴あり)
【現病歴】
約3年前に心臓弁膜症の手術を受け、その後約2か月間入院した。入院期間中より右股関節痛が増悪し、歩行困難となったとの報告を受けた。
【現症】
痛みが強く歩行できない日もあれば、自宅内では手すりを使用して何とかトイレまで移動できる日もあるとの報告を受けた。施術前は車椅子からの起立動作が補助なしでは困難であり、起立動作中は「痛い、痛い。」と繰り返し痛みを訴えていた。
【施術と結果】
本症例は、約2か月の入院期間中に症状が増悪したこと、また症状に日内変動がみられることから、腰部の筋緊張が症状に大きく関与している可能性を推察した。触察にて腰部側面に強い筋緊張を確認し、施術開始部位とした。
施術開始から約10分で弛緩を触知した。本人からNRSによる評価を得ることはできなかったが、同伴の家族より「立ち上がる時に『痛い、痛い。』と言わなくなっている。」との報告を受けた。変化が認められたため、同部位への施術を継続した。
その後、状態を確認しながら上前腸骨棘周辺、鼠径部、ハムストリングス周辺への施術を並行して行った。合計約1時間45分の施術後には、車椅子への移乗および車椅子から自動車への移乗時に、同伴の家族より「補助するときに掛かる力が少なくなり、痛みも少なそうです。」との報告を受けた。
【考察】
本症例は、心臓弁膜症術後の長期入院を契機として右股関節痛が増悪し、歩行や起立動作が困難となった一例である。約2か月の安静期間に伴う腰部および股関節周囲の筋緊張が症状に関与していた可能性が示唆された。腰部側面を中心に筋緊張を弛緩させることで、本人の疼痛表現が減少し、さらに家族からも介助負担の軽減が確認されたことから、筋緊張の改善が日常動作能力の向上に寄与した可能性が考えられた。
【その他】
本症例は本人から数値による疼痛評価を得ることは困難であったため、症状の変化は本人の訴えに加え、同伴家族による動作観察を客観的指標として記録した。
本症例は医学的診断および治療を目的としたものではなく、緩消法による筋緊張の弛緩に伴う身体反応を記録した症例報告である。