【患者】
70代前半 男性
【主訴】
「股関節が固まって痛く、歩くのも辛いし、しゃがむこともできない。」
【既往歴】
先天性股関節脱臼
【現病歴】
出生時、呼吸がなかったため逆さにして足を持たれた際、股関節が脱臼していたと聞いているとの報告を受けた。1歳頃になっても立ち上がることができず、治療を受けたとのことであった。その後は違和感を感じながらも日常生活や体育の授業などは支障なく行えていたが、約2年前から右股関節痛が徐々に増悪した。
緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】
70代前半 男性
【主訴】
「股関節が固まって痛く、歩くのも辛いし、しゃがむこともできない。」
【既往歴】
先天性股関節脱臼
【現病歴】
出生時、呼吸がなかったため逆さにして足を持たれた際、股関節が脱臼していたと聞いているとの報告を受けた。1歳頃になっても立ち上がることができず、治療を受けたとのことであった。その後は違和感を感じながらも日常生活や体育の授業などは支障なく行えていたが、約2年前から右股関節痛が徐々に増悪した。
【現症】
歩行時には常に右股関節に痛みと緊張感を認めた。しゃがみ込み動作では股関節から大腿部、膝にかけて強い牽引感を訴え、股関節屈曲約50度、膝関節屈曲約45度で可動域制限を認めた。
【施術と結果】
本症例は、先天性股関節脱臼の既往を有していたものの、その後長期間にわたり日常生活を問題なく送ることができていたこと、また現在の症状は約2年前から増悪している経過であることから、既往歴だけではなく腰部の筋緊張が現在の症状に大きく関与している可能性を推察した。触察にて右腰部側面に左側と比較して強い筋緊張を確認し、施術開始部位とした。
施術開始から約5分で弛緩を触知し、痛みは10から6(NRS改変)へと軽減したとの報告を受けた。この時点では可動域に大きな変化は認められなかったものの、疼痛の改善が確認されたため、同部位への施術を継続することとした。
さらに約20分施術を継続したところ、弛緩を触知し、股関節屈曲可動域は約90度まで改善した。患者からは「腰を軟らかくするだけで、痛みが変わって股関節が動くようになるんですね。」との報告を受けた。
【考察】
本症例は、先天性股関節脱臼の既往を有していたものの、長期間にわたり大きな機能障害なく生活していた経過を有し、近年になって股関節痛および可動域制限が増悪した一例である。腰部側面の筋緊張を弛緩させることで、疼痛の軽減だけでなく股関節可動域の著明な改善が認められたことから、現在の機能障害には腰部筋群の緊張が大きく関与していた可能性が示唆された。既往歴のみで現在の症状を説明するのではなく、身体全体の筋緊張を評価することの重要性を示す症例と考えられた。
【その他】
本症例は医学的診断および治療を目的としたものではなく、緩消法による筋緊張の弛緩に伴う身体反応を記録した症例報告である。