【患者】70代前半 女性
【主訴】「じっと座っているだけで、右太ももの外側が痛くなる。」
【既往歴】半月板損傷(手術歴あり)
【現病歴】10年以上の痛みはあったが、日常生活に支障はなかった。約2ヶ月前に脊柱管狭窄症と診断され、入院するほどの腰痛を発症して以降、右大腿部外側の安静時痛が増悪した。現在は痛み止めを服用し、なんとか生活をしているとの訴えがあった。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】70代前半 女性
【主訴】「じっと座っているだけで、右太ももの外側が痛くなる。」
【既往歴】半月板損傷(手術歴あり)
【現病歴】10年以上の痛みはあったが、日常生活に支障はなかった。約2ヶ月前に脊柱管狭窄症と診断され、入院するほどの腰痛を発症して以降、右大腿部外側の安静時痛が増悪した。現在は痛み止めを服用し、なんとか生活をしているとの訴えがあった。
続きを読む【現症】立位・椅坐位共に、右大腿部外側、腸骨稜から膝関節にかけて痛みを訴えていた。椅坐位からの起立動作で痛みの強度に変化はなかった。
【施術と結果】本症例は、入院をきっかけに痛みが悪化しており、入院中の安静臥床により腰部の筋緊張が強まったことが要因の一つであると考えられた。本人からは、約2週間、主にベッドで薬を服用しながら安静にしている入院だったとの報告を受けていた。腸骨稜から膝にかけての大腿部痛という訴えから、腰部側面と腸骨稜付近の筋緊張を大きな要因と考えた。反対側にも同様の症状を訴えているため、健側との筋緊張比較は未実施とした。
腰部側面を施術開始箇所と決め、施術開始の説明を含め約5分で弛緩を触知した。右大腿部外側の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなったとの報告を受けた。変化が見られたことから、同部位への施術を継続した。
続けて約2分の施術で、痛みは10から2(NRS改変)と小さくなったとの報告を受け、別症状への施術を希望されたため、一旦終了した。
別症状への施術終了後、再び本症例への施術に戻り、さらに15分の施術で痛みは10から0(NRS改変)と消失した。「今まで痛いぐらいの施術を受けた方が良くなると思っていたが、こんな何もされてないくらいで筋肉が軟らかくなって痛みが消えると思わなかった。」と驚きの報告を受けた。
【考察】本症例は、脊柱管狭窄症に起因する腰痛が改善傾向にあっても、長期安静による二次的な筋緊張亢進が、大腿部外側の安静時痛という遠隔部位の症状の主要な要因となっていた可能性を示唆する。短時間の施術で痛みが消失したことから、症状の慢性化や重症度に関わらず、筋緊張の弛緩が有効であることが確認された。
【その他】本症例の患者紹介者から、「翌日も痛み止めを使わずに生活出来ている。他にもあった症状が消えたり、楽になっていて、とても喜んでいる」との報告を受けた。