【患者】50代前半、男性
【主訴】20歩程度の歩行できつくなり両脚が前に出ない。前かがみになってしまう。
【現病歴】3~4ヶ月前から特に誘因なく、上記主訴が出現。近医総合病院の神経内科を受診。血液検査にて、球脊髄性筋萎縮症の可能性があるとの説明を受けた。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】50代前半、男性
【主訴】20歩程度の歩行できつくなり両脚が前に出ない。前かがみになってしまう。
【現病歴】3~4ヶ月前から特に誘因なく、上記主訴が出現。近医総合病院の神経内科を受診。血液検査にて、球脊髄性筋萎縮症の可能性があるとの説明を受けた。
続きを読む【現症】約20歩の歩行で両大腿部にきつさが出る。前傾姿勢になり、軽度の腰痛を感じる。椅座位での胸腰部左右側屈の自動可動域(以下、ROM)は左右とも約15°。
【検査所見】ベッド端座位での徒手筋力テスト(以下、MMT)・・・腸腰筋:左右とも4-、大腿四頭筋:左右とも5。Trendelenburg歩行なし。
【施術と結果】本症例の症状が前述の診断名が原因だとすると、現時点で緩消法による科学的改善データは無い。しかし、症状としては、両下肢の部分的な筋力低下が発生している。そして、筋力低下により通常通り下肢が使えていないため、筋拘縮が存在していると推察した。従って、その筋拘縮を改善させることで、体幹や両下肢の動きに変化が出ることを期待し、施術を開始した。腰部の小指押圧深は右2cm、左2.5cm。
まず、椅座位にて腰部左右側面に緩消法を実施。約5分で施術部の筋弛緩を確認。歩行してもらうと、主観で施術前よりも歩行数が約1.5倍に伸び、前傾にもなりにくくなったとのことだった。
効果があったため、同部に施術を継続。約15分後、更なる筋弛緩を確認。歩行してもらうと主観で施術前の3倍以上歩行でき、腰痛は消失し、前傾にならなくなった。ベッド端座位での腸腰筋のMMTは4+に改善。椅座位での胸腰部左右側屈ROMは左右とも約30°に改善。腰部の小指押圧深は右3cm、左3.5cmに改善。
以後、10分の腰部施術で歩容・筋力に変化が見られなかったため、次に、仰臥位にて両鼠径部を触診すると拘縮部分が確認できたため、その部分に実施。左右とも約3分ずつ実施し、弛緩を確認。腸腰筋のMMTは左右とも5-に改善した。
その後歩いてもらうと、「歩きやすくなったし、脚に力が入る!」と今後の治療に希望が持てた様子であった。
【考察】神経内科疾患の指定難病の症状においても、腰部や鼠径部の筋弛緩を得ることで、歩容・筋力の改善が見られた症例であった。緩消法は筋線維を痛める等の副作用が無いため、試行してみる価値のある治療法だと言える。