【患者】50代前半 男性
【主訴】去年の9月にコロナにかかってから両手に痛みが出るようになり、生活ができる為放置していたら最近両肩が痛くて上がらなくなってきた。先に右肩が上がらなくなったが、今は左肩が上がらない。
【既往歴】ー
【現病歴】昨年9月にコロナウイルスに罹患後、両上肢に軽度の痛みが発生。日常生活に支障を来たす程ではなかった為、特に治療等は行わなかったところ、約2ヵ月前から両肩関節周辺に痛みが生じ、両肩関節可動域(以下、ROM)に制限が生じるようになった。以前より自身で緩消法を行い、腰部痛などは改善傾向にあったが、両肩ROM制限が生じたことで自分で緩消法を行うことも困難になり来院。
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【現症】両肩関節痛の発症初期は右肩関節痛と右肩ROM制限が重度だったそうだが、来院時は左肩関節痛と左肩ROM制限が顕著であった。施術前の左肩ROMは自動で屈曲約80°、外転約45°。
【施術と結果】本症例は、コロナウイルス罹患後にかなり時間が経過してから誘因無く発症しており、目視と触察により腫脹や熱感が確認できないことから、両肩関節周辺の筋緊張が要因と考えた。また、症状は両肩関節に及んでいたが、来院時は左肩ROM制限が顕著であった為、左肩関節周辺の施術を行った。
先ず、左肩ROM自動外転約45°肢位で左肩関節周辺を触察したところ、左大円筋周辺に強い筋緊張を確認した為、緩消法を約3分施術し筋弛緩を確認。結果、左肩ROMは自動で屈曲約90°、外転約70°と大きくなった。
再度左肩ROM自動外転約70°肢位で左肩関節周辺を触察したところ、左大胸筋周辺に強い筋緊張を確認した為、緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認。結果、左肩ROMは自動で屈曲約100°、外転約80°と大きくなった。改善が見られた為、続けて同部位周辺に緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認。結果、左肩ROMは自動で屈曲約100°、外転約80°と変化は見られなかった。
次に、左肩ROM自動外転約80°肢位で最も痛みを感じる部位を示指で示してもらったところ、左三角筋前部線維周辺を示した為、触察により筋緊張を確認し、緩消法を約3分施術し筋弛緩を確認。結果、左肩ROMは自動で屈曲約110°、外転約90°と大きくなった。
この時点で腰部左側に左手を当てることが出来るようになり、自身で緩消法を行うことが出来るようになった為、ご本人の希望により別部位の施術に移行した。
「腰に手が当てられるようにさえなれば、自分でも緩消法を進められる」とお喜びいただいた。