【患者】60代前半、女性
【主訴】階段を上るときに右の股関節が痛むのと、力が入らない感じがして、一段ずつ足を揃えないと上れなくて困っている。
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約8年前より右股関節の症状が出現。一時期は軽快していたものの、約1年前より症状が増悪。現在は階段を交互に上ることが困難となり、一段ごとに両足を揃えて昇る状態が持続しているため、改善を求めて来院となった。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】60代前半、女性
【主訴】階段を上るときに右の股関節が痛むのと、力が入らない感じがして、一段ずつ足を揃えないと上れなくて困っている。
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約8年前より右股関節の症状が出現。一時期は軽快していたものの、約1年前より症状が増悪。現在は階段を交互に上ることが困難となり、一段ごとに両足を揃えて昇る状態が持続しているため、改善を求めて来院となった。
続きを読む【現症】階段昇降時における右股関節の運動時痛を認める。また、右下肢の支持性および出力の著明な低下により、一段飛ばしや通常の交互歩行による階段の昇段が困難な状態であった。
【施術と結果】本症例は、約8年前からの長期にわたる経過に加え、直近1年での増悪傾向を認める。患部への直接的なアプローチではなく、触察により確認した筋緊張の根本要因と推察される腰部側面を施術開始部位として選択した。
まず施術者①による施術を開始。約2分で筋弛緩を触知。階段昇り動作において、「正常に足を交互に出して昇ることが可能になった」との報告を得た。この時点で痛みは10から8(NRS改変)へ軽減し、筋出力は主観で3割向上した。明確な変化が確認されたため、同部位への施術を継続した。
次に施術者②に交代し、約7分間の追加施術を実施。筋弛緩がさらに進んだことで、階段昇り時の痛みは10から5(NRS改変)へ軽減し、筋出力は主観で5割増まで回復したとの報告を受けた。
その後も施術者②が施術を継続。約16分が経過した時点で、痛みは10から3(NRS改変)まで減少し、筋出力に関しては「健側(左脚)と同等に力が入るようになった」との報告を得た。
今後は、回復した出力を維持し、再発を防止するために、腰部周辺の柔軟性を保つセルフケアの継続が重要であることを説明し、施術を終了した。
【考察】本症例は、約8年という長期にわたる股関節の機能不全が、腰部側面の筋緊張を除去することで短時間のうちに劇的な改善を見せた一例である。階段を一段ずつ揃えてしか昇れなかった状態(出力不全)は、筋力そのものの低下ではなく、腰部筋群の過緊張による神経伝達阻害や、動作時の拮抗阻害が主因であったと考えられる。特に施術開始後わずか数分で階段の交互昇降が可能となった事実は、腰部側面の筋弛緩が股関節周囲の連動性を即座に回復させたことを示唆している。
【その他】施術は施術者①(渡邉)と施術者②(筆者)が交代しながら行った。施術者が異なっても緩消法の効果が現れた症例であった。