【患者】
10代後半 女性
【主訴】
「急に右の足首が痛くなり、歩くのもサポーターをしないと辛い。部活動にも差し支えている。」
【既往歴】
右足関節骨端線損傷(中学生時)
【現病歴】
約7ヶ月前に、明らかな誘因なく右足関節痛が発症した。
緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】
10代後半 女性
【主訴】
「急に右の足首が痛くなり、歩くのもサポーターをしないと辛い。部活動にも差し支えている。」
【既往歴】
右足関節骨端線損傷(中学生時)
【現病歴】
約7ヶ月前に、明らかな誘因なく右足関節痛が発症した。
【現症】右足関節外側、外踝周辺部に痛みを訴えていた。安静時痛はなかったが、起立動作や歩行動作などの運動時には常に痛みが確認された。
【施術と結果】本症例は「誘因無し」との訴えであったが、過去に同部位の足関節骨端線損傷の既往があることから、筋緊張や皮下組織の硬さが要因となっていると推察された。触察にて健側と比較し緊張を確認できた外踝周辺部を施術開始部位とした。
特に該当部位の中で最も痛みが強く感じられる箇所を確認し、施術を開始した。約30秒で弛緩を触知し、痛みは10から6(NRS改変)と小さくなったとの報告を受けた。変化が見られたことから同部位での施術を継続しようとしたが、痛みの強い箇所が変化したとの報告を受けたため、箇所を移動し施術を継続した。
続けて約2分の施術で弛緩を触知し、痛みは10から4(NRS改変)と小さくなったとの報告を受けた。さらに痛みの強い箇所の変化報告を受け、施術開始箇所を変更することを計4回繰り返し、合計約15分の施術で痛みは10から0(NRS改変)と消失したとの報告を受けた。
しかし、跳躍動作のように歩行よりも負荷のかかる運動時には痛みが残存していた。痛む箇所に「指が押し当てられた感じがしない」との訴えがあったことから、足関節周辺の緊張要因と考えられる腰部の弛緩を勧め、当日の施術は終了とした。
【考察】本症例は、過去の骨端線損傷の既往がある部位に長期にわたり残存した痛みが、筋緊張を弛緩させることで消失した一例である。短時間の施術で痛みが消失したものの、高負荷時の痛みが残ったことから、その要因は足関節周辺の局所的な筋腱群の緊張に留まらず、遠隔部位(腰部)の影響や、より深部の組織(靱帯)の関与が示唆された。
【その他】本症例で痛みが残った箇所については、筋腱群の緊張ではなく靱帯までの弛緩が必要である可能性を考察した。より効率の良い弛緩を目的として、足関節周辺の緊張要因と考えられる腰部の筋弛緩を勧めて終了としたことを補足する。