【患者】60代後半 男性
【主訴】約6ヶ月前に交通事故に遭い、それから右肩が痛くて動かせない。
【現病歴】約6ヶ月前に交通事故により受傷した。近医整形外科にリハビリ通院を続けたが、痛みが改善せず可動域制限にも変化なく約6ヶ月が経過した。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】60代後半 男性
【主訴】約6ヶ月前に交通事故に遭い、それから右肩が痛くて動かせない。
【現病歴】約6ヶ月前に交通事故により受傷した。近医整形外科にリハビリ通院を続けたが、痛みが改善せず可動域制限にも変化なく約6ヶ月が経過した。
続きを読む【現症】右肩関節可動域(以下、ROM)は、自動で屈曲約90°・外転約90°で、痛みあり。
【施術と結果】本症例は、交通事故による受傷から筋緊張や癒着様の状態があるものと考えられた。痛みを訴える箇所は、屈曲時も外転時も肩峰より遠位へ約5横指の範囲であったことから、大胸筋周辺と大円筋周辺の筋腱群の緊張亢進が要因であると推察された。触察にて健側と患側を比較し、最も緊張の強い部位を施術開始箇所とした。
まず施術者①の施術開始から約1分で筋緊張の弛緩が触知され、ROMは屈曲約100°・外転約100°に改善が見られた。約90°時の痛みは10から3(NRS改変)に軽減したとの報告を受けた。変化が認められたことから、同部位への施術を継続。更に約2分で筋緊張の弛緩が触知され、ROMは屈曲・外転共に約100°から約105°に改善が見られた。
次に施術者②に交代し、肩および前胸部周辺の筋緊張の要因と考えられる腰部の施術を行うこととした。腰部側面の施術開始から約3分で筋緊張の弛緩が触知され、ROMは屈曲約120°・外転約110°に改善が見られた。
その後も施術者①②で交代しながら、合計約45分の施術を実施。ROMは屈曲約140°・外転約120°までの改善が見られた。屈曲・外転共に約90°時の痛みは10から0(NRS改変)と消失したとの報告を受けた。
「6ヶ月経っても症状は平行線だったので、もう治らないかと諦めかけていたが、治りそうだとわかって良かった。」と喜びの報告を受けた。
【考察】本症例は、交通事故後の受傷から長期間(約6ヶ月)にわたり、拘縮を伴う可動域制限が残存していたにもかかわらず、筋緊張を弛緩させることで短時間のうちに痛みの消失とROMの著明な改善が確認された。また、肩関節周辺の局所だけでなく、要因と考えられる腰部の施術を行うことで更なる改善が見られたことは、筋膜や筋緊張の連鎖を考慮した施術の有用性を示唆するものであり、慢性化した外傷後遺症に対する緩消法の有効性が示された一例であった。