【患者】10代後半、男性
【主訴】右肘を手術したが、肘の周りの痛みが残っている
【現病歴】小学生低学年から野球を始め、現在は高校3年生。約1年半前に、右肘痛が出現し、徐々に強くなった。肘可動域(以下、ROM)制限も出現。近医整形外科を受診しCT・MRIにて精査した結果、肘関節に骨棘を伴う変形を認めた。変形は、主に、尺骨鈎状突起と肘頭近位端に発生しており、その骨棘・変形によって痛みと可動域制限が出ていると説明を受け、約1年前に関節鏡視下での骨棘切除手術を受けた。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】10代後半、男性
【主訴】右肘を手術したが、肘の周りの痛みが残っている
【現病歴】小学生低学年から野球を始め、現在は高校3年生。約1年半前に、右肘痛が出現し、徐々に強くなった。肘可動域(以下、ROM)制限も出現。近医整形外科を受診しCT・MRIにて精査した結果、肘関節に骨棘を伴う変形を認めた。変形は、主に、尺骨鈎状突起と肘頭近位端に発生しており、その骨棘・変形によって痛みと可動域制限が出ていると説明を受け、約1年前に関節鏡視下での骨棘切除手術を受けた。
続きを読む【現症】肘関節自動ROMは屈曲約90°、伸展-30°。自動と他動で差無し。痛みに関しては、自動最大屈曲時に肘屈側外側から外側にかけて感じ、また、自動最大伸展時に肘後方内側に感じる。
【検査所見】持参術前肘CT矢状断では、尺骨鈎状突起に約5mm、肘頭近位端に約1cmの骨棘あり。
【治療と結果】右肘関節の自動最大屈曲時(以下、屈曲時)に痛みを感じる部分(以下、部位A)、および、自動最大伸展時(以下、伸展時)に痛みを感じる部分(以下、部位B)を触診すると、健側と比し筋緊張の亢進を認めたため、まずはその範囲に緩消法を実施。
約3分後、肘ROMには変化が無かったが、屈曲時に感じる痛みは10から5(NRS改変)に、伸展時に感じる痛みは10から7(NRS改変)に小さくなった。
効果があったため、更に部位A・Bに継続実施。約10分後、更なる弛緩を確認。肘ROMには変化が無かったが、屈曲時に感じる痛みは10から3(NRS改変)に、伸展時に感じる痛みは10から3(NRS改変)に小さくなった。
更に、同部位A・Bに継続実施。約10分後、屈曲時に感じる痛みは10から0(NRS改変)と消失し、伸展時に感じる痛みは10から1(NRS改変)に小さくなった。肘関節自動ROMも屈曲約100°、伸展-20°に改善した。「もう良くならないかも、と心配していたが、これで望みが出来て嬉しい」と喜ばれた。
【考察】肘他動ROMでは、最大屈曲時・伸展時にlockingしているような状態に感じたため、手術を実施した主治医に骨性ROM制限の有無を確認していただくように指示した。骨性ROM制限が無ければ、今後更なるROM改善が見込まれる。