【患者】50代後半 男性
【主訴】「約1年2ヶ月前に突然左耳が聞こえなくなり、針やステロイドで音が鳴っているのはわかる様になってきたが、会話にも差し支えている。」
【既往歴】糖尿病
【現病歴】約1年2ヶ月前に誘因なく発症した。発症時は全く聞こえないという状態であったが、耳鼻科でのステロイド治療や鍼治療などを行ううちに、約6ヶ月前から何か音がしているという程度までは聞こえるようになったとのことである。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】50代後半 男性
【主訴】「約1年2ヶ月前に突然左耳が聞こえなくなり、針やステロイドで音が鳴っているのはわかる様になってきたが、会話にも差し支えている。」
【既往歴】糖尿病
【現病歴】約1年2ヶ月前に誘因なく発症した。発症時は全く聞こえないという状態であったが、耳鼻科でのステロイド治療や鍼治療などを行ううちに、約6ヶ月前から何か音がしているという程度までは聞こえるようになったとのことである。
続きを読む【現症】施術室内のBGMとして流れていた音楽は、左耳のみでは、何か音がしているという程度で、音楽としては認識できないとのことであった。
【施術と結果】本症例は、誘因なく発症しているとの訴えから、頚部左側の筋緊張から生じる左耳への血行不良が要因であると推察された。触察にて健側と比較して強い筋緊張を確認したため、当該箇所を施術開始部位とした。
施術開始から約2分で筋緊張の弛緩が触知され、左耳の聴力は、右耳を10とした場合、施術前の1未満から主観で3程度に改善したとの報告を受けた。変化が認められたことから、同箇所への施術を継続することにした。
続けて約5分の施術で、耳の聴力は1未満から5へと改善し、右耳に比して半分ほどにまでなったとの報告を受け、室内の音楽が音楽として聞こえるようになったとのことである。
その後、同箇所へ約2分の施術をするも変化が認められなかったため、悪化予防とより深部への弛緩を促進するため、腰部側面への施術を約18分間行い、終了とした。
【考察】本症例は、突発性難聴のように誘因が不明な症例であっても、筋緊張による血行不良がその要因である可能性を示唆するものであった。発症から時間が経過した症例でも、筋緊張を弛緩させることで聴力に改善が見られたことは、緩消法の非侵襲性および有用性を裏付けるものであると考えられる。