【患者】40代後半、女性
【主訴】交通事故の後からずっと右首と右肩が痛い。右肩が動かせない。
【既往歴】交通事故前は特記事項なし
【現病歴】約7年前、乗用車助手席に乗車中、タクシーが助手席側に衝突し受傷。救急搬送には至らなかったが、全身打撲で当初より複数箇所が痛かった。これまで他院にてリハビリ通院・鎮痛剤内服・ブロック注射などの治療を行うも、痛みは徐々に悪化していった。現在も強い痛みが継続しており、円滑な体動・歩行はほとんどできず、オムツと車椅子を使用している状態。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】40代後半、女性
【主訴】交通事故の後からずっと右首と右肩が痛い。右肩が動かせない。
【既往歴】交通事故前は特記事項なし
【現病歴】約7年前、乗用車助手席に乗車中、タクシーが助手席側に衝突し受傷。救急搬送には至らなかったが、全身打撲で当初より複数箇所が痛かった。これまで他院にてリハビリ通院・鎮痛剤内服・ブロック注射などの治療を行うも、痛みは徐々に悪化していった。現在も強い痛みが継続しており、円滑な体動・歩行はほとんどできず、オムツと車椅子を使用している状態。
続きを読む【現症】車椅子座位にて、痛みを訴える箇所は複数あるが、後頚部右側から右肩にかけて一番痛みを感じる。右肩の自動関節可動域(以下、ROM)は屈曲約90°・伸展0°。
【検査結果】レントゲンにて骨性異常なし
【施術と結果】本症例は、後頚部右側が痛くて右肩が動かせないとの訴えがあったため、まずは後頚部右側の筋緊張が高い部分に施術をする事とした。
施術者①の施術開始から約4分で同部の筋弛緩を確認。痛みは10から8(NRS改変)と小さくなった。肩ROMにはまだ変化が見られなかったが、痛み軽減効果があったため同部に継続する事とした。
次に施術者②に交代。約3分で筋弛緩は確認できたが痛み不変のため、今度は肘屈曲位での肩他動屈曲伸展動作で施術をする事とした。約5分で更なる筋弛緩を確認。右肩自動ROMは伸展0°から約20°に改善し、痛みは10から6(NRS改変)と小さくなった。
続けて同部位に施術を10分、筋弛緩を確認しながら進めるも、これ以上変化が見られなかった為、次に、右鎖骨上窩付近と肩甲骨部の筋緊張亢進部分に施術。肩他動外転内転動作にて行った。また、肩前方の筋緊張亢進部分に対しては、肘屈曲位にて他動外転45°〜70°における水平内転外転動作にて行った。約8分で肩自動ROMは屈曲約90°から約165°に改善し、痛みは半減した。
更に施術者①に交代し、同施術を継続。約6分で肩自動ROMは屈曲約180°・伸展約45°に改善。痛みは本人が数値化できなかったが当初の半分以下とのことで、上肢がほぼグルグル回せる状態にまで改善した。この時点で、別症状の相談を受けたため、本症例への施術は終了した。
【考察】本症例のような外傷を契機とした「線維筋痛症」発症患者に対しても、筋弛緩を得ることができ、痛み軽減効果が見られた。痛みが広範囲に存在するため時間はかかると思われるが、緩消法により薬物に頼らず痛み改善ができる可能性があると考える。
【その他】本症例は、当院にて、緩消法認定技術者の①渡邉②筆者の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は施術者②が行った。