【患者】20代後半女性
【主訴】コロナ感染後に右耳が突発性難聴になり、高音が聞こえない。
【既往歴】副鼻腔炎、新型コロナウイルス感染症、突発性難聴、喘息
【現病歴】約1年前、コロナ罹患後に右耳のみ高音が聞き取れなくなり、近医耳鼻科を受診し突発性難聴と診断された。同時期に右耳鳴りと喘息も発症。その後鍼治療に約1年間通い、難聴は7割程度改善したが、根本改善したいと思い当院に来院。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】20代後半女性
【主訴】コロナ感染後に右耳が突発性難聴になり、高音が聞こえない。
【既往歴】副鼻腔炎、新型コロナウイルス感染症、突発性難聴、喘息
【現病歴】約1年前、コロナ罹患後に右耳のみ高音が聞き取れなくなり、近医耳鼻科を受診し突発性難聴と診断された。同時期に右耳鳴りと喘息も発症。その後鍼治療に約1年間通い、難聴は7割程度改善したが、根本改善したいと思い当院に来院。
続きを読む【施術と結果】本症例は、高音以外は聞き取れており聴力が完全に消失していないことから、後耳介動脈周辺の血行不良が突発性難聴の要因と考えた。
はじめに、耳介後方の右側頭骨乳様突起周辺を触察したところ、右顎二腹筋後腹の起始部周辺に強い筋緊張があり、痛みを訴えた。筋緊張部位に緩消法を約3分施術し筋弛緩を確認した結果、血流が良くなっているのがわかるとの報告を受けた。筋緊張が残存していることから、引き続き筋緊張部位に約3分施術し筋弛緩を確認した結果、痛みが10から6(NRS改変)と小さくなった。
次に、頚部筋群の筋緊張が内耳への血液循環を悪化させ、難聴や耳鳴りが引き起こされていると考え、頚部右側面を触察したところ、右胸鎖乳突筋の起始部周辺に強い筋緊張があり、痛みを訴えた。また、頚部右側屈時に痛みによる可動域制限を確認。筋緊張部位に約5分施術し筋弛緩を確認した結果、頚部右側屈時の痛みが10から6(NRS改変)と小さくなった。改善が見られたことから、さらに同部位周辺の筋緊張部位に約10分施術し筋弛緩を確認した結果、頚部右側屈時の痛みが10から3(NRS改変)と小さくなり、頚部右側屈がしやすくなったとの報告を受けた。
次に、耳介周辺及び頚部周辺の筋緊張の要因として、腹側の正中から右約10cmの第10肋骨下縁周辺の筋緊張が影響していると考え触察したところ、筋緊張を確認した。仰臥位にて筋緊張部位に約10分施術し筋弛緩を確認した結果、上半身の筋が緩んで軽くなったとの報告を受けた。
次に、耳介周辺及び頚部周辺の筋緊張のもう一つの要因として、最長筋の過緊張が考えられ、最長筋の過緊張は腰部筋群の筋緊張が影響していると考えられることから、腰部側面の施術に移行した。椅子座位にて筋緊張部位に約10分施術し筋弛緩を確認した。
次に、再度右顎二腹筋後腹の起始部周辺を触察すると、縦に約2cm長の筋硬結の様なしこりを確認した。緩消法を約3分施術し筋弛緩を確認した結果、筋硬結の様なしこりは約1cm長に減少し、主観で閉塞感がなくなってきたとの報告を受けた。筋硬結の様なしこりが残存していたため、しこりが確認出来なくなるまで筋弛緩して施術を終了した。
右耳にイヤホンを装着し、簡易的な聴力測定を実施すると8000Hzの音がジリジリ聞こえるようになり、閉塞感も消失したとの報告を受けた。
約3週間後の再来院時には耳鳴りが改善し、難聴も日常生活での困難がないことが確認できた。