【患者】50代後半、女性
【主訴】仕事中しゃがんでする作業が、右膝の痛みで出来ない。正座も出来ない。
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約半年前、特に誘因なく右膝痛が出現。継続するため近医整形外科を受診。レントゲンとMRI検査を行い「変形性膝関節症・半月損傷」の診断を受けた。インソールと鎮痛剤内服で加療開始するも、痛みと可動域制限が継続している。
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【現症】立位から椅座位への移行中、右膝関節の膝蓋骨内側遠位部に痛みが出現する。痛みが出始める膝関節自動屈曲角は約60°で、しゃがみ切る事が出来ない。
【検査結果】レントゲン写真にて変形性膝関節症の程度はKellgren-Lawrence分類Grade1であった。
【施術と結果】本症例は、立位から椅座位移行中に痛みが発生する事から、右大腿部の筋緊張が要因と考えた。触察にて右大腿部前面中央部に筋緊張と感じられる状態を確認したため、その部位(以下、部位A)を施術開始箇所とした。
まず施術者①の施術から開始。約1分で筋弛緩を確認。膝関節自動屈曲角約60°(以下、同角度)での痛みは10から5(NRS改変)と小さくなった。また、立位から正座位への移行中における踵殿距離(以下、同肢位HBD)は施術前の約17cmから約15cmへの変化を確認出来た。改善がみられた事から部位Aの施術を継続する事とした。
次に施術者②に交代。施術約2分で部位Aの筋弛緩を確認。同角度での痛みは10から1(NRS改変)と小さくなった。また、痛みが出始める膝関節自動屈曲角は約60°から約90°へと改善し、同肢位HBDは、約15cmから10cmと改善が見られた。
更に、施術者①に交代し、部位Aへの施術を継続し約3分で筋弛緩を確認。屈曲角約90°での痛みに変化はなかったが、同肢位HBDは約10cmから約4cmと改善が見られた。
痛みに変化がなかった事から、次に、大腿部前面の筋緊張の要因と考えられる上前腸骨棘付近の筋緊張を触察にて確認したため、その部位(以下、部位B)を施術部位とした。
施術者②に交代。部位Bへの施術開始から約3分で筋弛緩を確認。屈曲角約90°での痛みに変化はなかったが、同肢位HBDは約2cmと改善が見られた。
痛みに変化がなかった事から、再発抑制と更なる痛みの改善とROM改善に必要と考えられる、部位Bと繋がっている腰部側面から腰部全体の施術へと移行。他部位の痛みに関する施術も行いながら、総計約40分の施術を行った。その後の顕著な変化は見られなかったが、「何かをやってもらった感じはないのに、こんなに変わるなんて、自分でも出来るならやっていきたい」と前向きな報告を受けた。
【その他】本症例は、当院にて、緩消法認定技術者の①筆者②渡邉の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は施術者①が行った。