【患者】60代後半 男性
【主訴】昨日の夜から右耳が聞こえにくく、水が入っているような感じがする。
【既往歴】-
【現病歴】一昨日から昨日にかけて仕事で車を約1000km運転し、夜帰宅してから右耳が聞こえにくいことに気づいた。過去にも二度突発性難聴を発症したことが有る。この3~4ヶ月は頚部から両肩部にかけて常に引張感と倦怠感が有る。時々耳鳴りがすることも有る。
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【現症】主観により、左耳よりも右耳の方が聞こえにくく、左耳に比べ右耳の聞こえは約2割。起床時は眩暈もあったが、来院時に眩暈や耳鳴りの症状は確認できなかった。安静時に頚部から両肩部にかけて引張感と倦怠感が有る。頚部関節可動域(以下、ROM)は自動で右回旋約30°で右胸鎖乳突筋周辺に痛みが生じ、ROM制限を確認。
【施術と結果】本症例は、長距離の運転後に右耳の突発性難聴を発症しており、数カ月に亘り頚部から両肩部にかけて引張感と倦怠感が有るとのことから、頚部右側周辺の筋緊張による血行不良が要因と考えた。
施術前の時点では主観により、左耳に比べ右耳の聞こえは約2割であり、院内に流れている音楽や空調音が左耳では聞こえるが右耳では全く聞こえないとのことであった。
まず、後耳介動脈周辺の血行不良を改善を目的とし、右乳様突起前方周辺を触察したところしこりの様な物を確認した為、緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認。結果、主観により左耳に比べ右耳の聞こえは約4割と大きくなった。改善が見られた為、更に同部位周辺に緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認。結果、しこりの様な物は確認できなくなったが、主観により聞こえ方に変化は無いと報告を受けた。
改善が見られなかった為、次に頚部右側周辺を触察したところ、右胸鎖乳突筋停止部周辺に筋緊張を確認し、緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認。結果、主観により左耳に比べ右耳の聞こえは約8割と大きくなり、院内に流れている音楽や空調音が右耳でも聞こえるようになったと報告を受けた。また、頚部ROMは自動で右回旋約60°と日常生活上のROM制限は確認できなくなり、頚部右回旋動作での痛みも10から0(NRS改変)と消失した。
耳が聞こえるようになっただけでなく、首がこんなに回るのも久しぶりで嬉しいとお喜びいただいた。