【患者】40代後半 女性
【主訴】痛すぎてどこが痛いのか分からないくらい左のお尻全体が痛い。
【既往歴】子宮頸がん術後
【現病歴】腰痛は7〜8年程前から慢性的に感じていたが、左殿部痛は発現したことはなかった。ここ1週間程前から自己流で腰の筋を揉んでいたところ2日前から左殿部痛が発現し、知人の紹介で来院された。
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【現症】左殿部に安静時痛あり。痛みは左中殿筋辺りを中心に左殿部全体に広がり、ご本人の主観では深部痛を訴えている。騎座位からの立ち上がり時や歩行時痛は顕著である。トレンデレンブルグ兆候は確認できない。
【施術と結果】本症例は2日前からの左殿部痛を訴えているが、触察や目視により熱感や腫脹が確認できなかった為、痛みを訴えている左殿部及び腰部の筋緊張による血行不良が要因であろうと考えた。
先ず、ご本人に左殿部の一番痛みを感じる箇所を指差ししていただくと、左腸骨稜から遠位約10cmの中殿筋辺りを指示された。中殿筋はデリケートな筋という認識があり、直接当該箇所を施術するのはリスクがあると考えた。痛みを訴える箇所の真上にあたる腸骨稜の上縁の筋緊張を触察により確認し、同箇所に緩消法を約3分行い筋弛緩を確認した。
その結果、安静時痛が10から7(NRS改変)と小さくなった。効果が認められた為、更に同箇所に約10分行い筋弛緩を確認した。その結果、安静時痛は10から0(NRS改変)と消失した。騎座位からの立ち上がり時及び歩行時痛は10から5(NRS改変)となり、主観で痛みの範囲が狭くなり、左大転子から近位約10cmの箇所のみとの報告を受けた。引き続き、第4腰椎高位の腰部真横から2横指背側から正中に向かって約15分行い、筋弛緩を確認した。
その結果、左殿部に於ける騎座位からの立ち上がり時痛及び歩行時痛は10から0(NRS改変)と消失したと安堵と笑顔の報告をいただいた。