【患者】60代後半 女性
【主訴】2日前に急に左肩の激痛で左腕が上げられなくなり、病院に行ったら左肩の関節にカルシウムの塊が有ると言われた。
【既往歴】乳がん術後
【現病歴】2日前、誘因なく左上肢挙上動作で左肩関節に強い痛みが生じ、近医整形外科にてレントゲン検査を受けたところ左肩関節に石灰沈着が有り、左肩関節周囲炎と診断された。自宅にて自身で左肩関節周辺に緩消法を行ったところ、左上肢を軽く動かせるまでには改善したものの運動痛は継続しており、左肩関節屈曲・外転動作に制限が有り、日常生活に支障を来たしている為来院。
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【現症】左肩関節周辺に強い運動痛が生じており、左肩関節可動域(以下、ROM)は自動で屈曲約60°、外転約40°とROM制限を確認。安静時痛は無し。
【施術と結果】本症例は、左肩ROM制限についてはレントゲン写真に写るほどの石灰沈着が要因である可能性も考えたが、目視と触察により左肩関節周辺に腫脹や熱感が確認できないことから、運動痛に関しては左肩関節周辺の筋緊張が要因と考えた。
先ず、左肩ROM自動外転約40°で左肩周辺を触察したところ左大円筋周辺に強い筋緊張を確認した為、緩消法を約30秒施術し筋弛緩を確認した結果、左肩関節の運動痛は10から5(NRS改変)と小さくなり、左肩ROMは自動で屈曲約120°、外転約90°と大きくなった。
改善が見られた為、続けて同部位周辺に緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した結果、左肩関節の運動痛は10から3(NRS改変)と小さくなり、左肩ROMは自動で屈曲約150°、外転約120°と大きくなった。
左肩ROMは日常生活に支障が無い程度まで改善した為、ご本人の希望も有り、残りの時間は再発防止を目的として腰部に緩消法の施術を行い終了した。施術終了後には左肩ROMは自動で屈曲約180°、外転約180°とROM制限は確認できなくなり、左肩関節の運動痛は左肩関節自動屈曲・外転それぞれ最後の約10°でやや痛みを感じる程度まで改善した。
「左肩にカルシウムの塊が有ると言われ改善には時間がかかると覚悟していたが、短時間で痛み無く動くようになってびっくりした」と驚いていた様子だった。