【患者】40代後半 男性
【主訴】約4年前から左耳の耳鳴りが続いていて、プールに潜っているときのような閉鎖感があり、そのせいで
左耳からの音も聞こえづらい。
【既往歴】メニエール病(約4年前)
【現病歴】左耳の耳鳴りと耳閉感による軽度の聴力低下が続いている。また、ストレスによる睡眠時の食いしばりが酷い。
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【現症】左耳の耳鳴りと耳閉感により、流れているヒーリングミュージックが左耳からは聴こえづらい。 眩暈は伴わない。
【施術と結果】本症例は、耳介前方を走る外頚動脈の枝である浅側頭動脈周辺の血行不良により耳鳴りが引き起こされていると考えた。
はじめに、耳介前方の左下顎窩周辺を触察したところ、筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約2分施術し、筋弛緩を確認した結果、耳鳴りに変化は見られなかったが、耳閉感が主観により2割減少したとの報告を受けた。改善が見られたことから、さらに同部位周辺の筋緊張部位に約1分施術し、筋弛緩を確認した結果、耳閉感が主観により6割減少した。
次に、耳介後方を走る外頚動脈の枝である後耳介動脈周辺の血行不良も耳鳴りの要因として考えられるため、耳介後方の左側頭骨乳様突起周辺を触察したところ、左顎二腹筋後腹の起始部周辺に筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約3分施術し、筋弛緩を確認した結果、主観により口の開閉がしやすくなったとの報告を受けたが、耳鳴りに変化は見られなかった。
耳鳴りの要因と思われる部位の筋弛緩をしても耳鳴りへの改善が見られなかったことから、頚部筋群の筋緊張が内耳への血液循環を悪化させ、耳鳴りが引き起こされていると考え、左胸鎖乳突筋を触察したところ、中央部に筋緊張を確認した。また、食いしばる動作により耳鳴りが増幅するとのことから、食いしばる動作をしてもらったところ、同部位の筋緊張が強くなった。同部位周辺を約2分弛緩した時点で「左耳の中の空気がポコッと抜けた」との報告を受けた。続けて同部位を約2分弛緩すると、耳閉感が主観により8割減少した。
耳介前方の左下顎窩と左咬筋周辺に違和感が出てきたとのことから、同部位周辺の筋緊張部位を約1分弛緩すると、「耳の中が温かくなって痒くなってきた」との報告を受けた。その約1分弛緩後にはヒーリングミュージックが左耳から聴こえるようになり、さらに約1分弛緩後には「あれ?耳鳴りがほとんどしない」と感極まって涙を流して喜んで頂いた。しかし、その約2分後には耳鳴りが戻ってしまったため、左胸鎖乳突筋の筋緊張部位を約2分弛緩した結果、再度耳鳴りが主観で8割減少したとの報告を受けた。
過去に耳鳴りが改善したことがなく一生付き合わないといけないと思っていたが、耳鳴りに関連する部位の筋弛緩によって効果を実感して頂けたことで、改善に向けて希望が持てると喜んで頂けた。