【患者】90代後半 女性
【主訴】右耳の近くで話してもらわないと何を話しているのかわからない。特に男性の低い声が聞き取りづらい。
【既往歴】―
【現病歴】約3年前から聴力が徐々に低下し、コミュニケーションが取りづらく日常生活に支障をきたしている。
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【現症】右耳に比べて左耳の聞こえやすさは主観で3割程度とのこと。右耳を塞いだ状態で同伴者の孫(男性)が約1.5m離れたところから声掛けしても話しの内容は理解できなかった。
【施術と結果】本症例は、難聴を訴えているが、聴力が完全に消失していないことから、耳介後方を走る外頚動脈の枝である後耳介動脈周辺の血行不良が難聴の要因と考えた。
はじめに、耳介後方の左側頭骨乳様突起周辺を触察したところ、左顎二腹筋後腹の起始部周辺に筋緊張を確認した。また、右に比べ左の筋緊張が強く圧痛を伴う。筋緊張部位に緩消法を約2分施術し、筋弛緩を確認した結果、 聞こえやすさの変化はなかった。筋緊張と圧痛が残存していることから、引き続き筋緊張部位に約2分施術し、筋弛緩を確認した結果、 右耳に比べて左耳の聞こえやすさは主観で5割程度となり、左側の圧痛は8割程度減少した。
次に、頚部筋群の筋緊張が内耳への血液循環を悪化させ、難聴が引き起こされていると考え、頚部左側面を触察したところ、左胸鎖乳突筋の筋緊張を確認した。筋緊張部位に約2分施術し、筋弛緩を確認した結果、右耳に比べて左耳の聞こえやすさは主観で7割程度となった。改善が見られたことから、さらに同部位周辺の筋緊張部位に約5分施術し、筋弛緩を確認した。同伴者の孫が約1.5m離れたところから声掛けすると、内容を理解した上での返答があったため、確実に改善されていることが確認できた。