【患者】80代後半 男性
【主訴】耳が聞こえにくく会話がこまる
【既往歴】1型糖尿病、頚椎捻挫(交通事故)、認知症
【現病歴】50代半ばに、家族の声が聴きづらい事に気付き、現在まで徐々に増悪。
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【現症】聴力低下に気付いてから、補聴器も購入したが、使い方を覚えるに至らず、使用はなし。左右の聴力に大きな差は確認出来なかった。同席家族による約1,5m離れた場所からの声掛けには反応しない。筆者が耳から約50cmの距離からの声掛けには反応、会話も成立する様子だった。
【施術と結果】本症例は、聴力にかかわる耳部への血行不良を疑い頚部に触察にて、筋緊張を確認。緊張には左右差があり、より緊張が強く感じられた左胸鎖乳突筋付近から施術を開始する事とした。
開始から約3分、筋弛緩を確認、現症確認時と同様に約50cmの距離からの声掛け、声量を主観で2割程度落とした事は、同席家族にも確認してもらった。また約80cmの距離、正面からの声掛けに対し、左右差ありとの報告を受けた。右側に対し左側が約2割聴こえ改善との事から、頚部への施術を継続する事とした。開始時は、椅座位での施術であったが姿勢維持が困難な為、体位変更して施術を行う事とした。
畳部屋であった為、座布団を使用しての仰臥位での施術へ移行した。施術中に入眠してしまった為、途中確認は出来ていないが、合計で約1時間半の施術終了後、約1,5mの距離からの声掛けにより聴こえの確認をした所、施術開始から約3分後に約50cmでの確認時と同様と考えられる声量でも会話が成立した事に、同席家族からも驚きと喜びの報告を受けた。緩消法は、長期間にわたる症状、また年齢に関係なく症状改善の可能性が大いに期待できる症例となったと考える。
【その他】頚部の筋緊張に腰部の筋緊張が関係すると考えられた為、腰部触察したが、通常の聴力低下を訴える方とは、腰部の筋緊張に明確な差異があった為、同席家族に既往を再度確認した所、30代後半頃に同乗していた車が追突され受傷、頚椎捻挫と診断され、数カ月(期間失念)頚部カラーにて固定されていたとの事だった。長期間固定による影響も、本症例には関係していたものと考えられた。