【患者】50代前半 女性
【主訴】3ヶ月くらい前から肩が痛くて、上がらなくなった。
【既往歴】バセドウ病(約20年前より加療中)
【現病歴】約3ヶ月前から誘因なく頚部左側から左肩関節及び左上腕部にかけて痛みが発症した。約1週間前から痛みが増大し、就寝時、痛みで仰臥位になれない。熟睡出来ない。
続きを読む
【現症】頚部左側から左肩関節、及び左上腕にかけて安静時痛がある。自動肩関節可動域(以下、ROM)は前方挙上約60°、水平伸展約30°で痛みが増大する。
【施術と結果】本症例は頚部左側面から左肩関節及び左上腕部にかけての痛みを訴えおり、特に誘因なく発症している事から筋緊張による血行不良が要因と考えた。
1番痛く感じる箇所を指一本で示して頂くと左烏口突起下方辺りを示された為、左烏口突起下方を触察したところ、筋緊張を確認し緩消法を約3分行った。筋弛緩を確認した。結果、痛みは10から6(NRS改変)と小さくなり、効果がみられた為、更に範囲を広げ緩消法を約3分行い筋弛緩を確認した。痛みは10から1(NRS改変)と小さくなった。
ここで痛みの箇所が頚部左側面に移行したと報告を受けた為、頚部左側面を触察し、筋緊張を確認し、緩消法を約3分行い筋弛緩を確認した。頚部左側面の痛みは10から2(NRS改変)と小さくなった。痛みの変化がみられたが、痛みの箇所が左上腕に移行したと報告を受けた。痛みの範囲が大きく、痛む箇所が次々に移行する為、頚部左側面から左肩関節及び左上腕の痛みの根本要因が腰部側面で肋骨直下の筋緊張が頚部左側面、左肩関節及び左上腕の筋緊張を牽引していると考えた為、腰部側面で肋骨直下の周辺部を触察し、筋緊張を確認した。
施術部を腰部側面の肋骨下部に移行し、緩消法を約15分行い筋弛緩を確認した。頚部左側面から左肩関節及び左上腕にかけての安静時の痛みは10から0(NRS改変)と消失した。左肩関節前方挙上時の自動ROMは約70°、左肩関節自動水平伸展ROMは約35°で痛みが出現し、可動域は大きくなった。
可動域制限と運動痛は残存するものの、短時間で可動域と安静時痛が改善した事で、腰の筋の緊張が痛みの要因と理解され、今後も筋の緊張を緩めていく意向であった。