【患者】40代前半 男性
【主訴】数ヶ月前から背中の張りを感じていて、10日前に30kgの米を持ち運んだ後から腰の両脇が痛くなった。
【既往歴】ー
【現病歴】運送業の仕事をしている為、重い物を持ち運ぶ事が多い。時々腰背部の引張感を感じていたが、10日前に30kgの米を持ち運んだ後から左右中殿筋辺りに痛みが発現した。コルセットを使用していれば、それほど痛みはないが時に鋭い痛みが発現する為、悪化を懸念して来院された。
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【現症】痛みは左右広背筋辺りと左右中殿筋辺りに発現する。左右広背筋辺りは引張感があり、動作による増悪はない。左右中殿筋辺りの痛みは動作痛のみで特に着座時、立ち上がり時に発現する。安静時痛はない。左右広背筋辺りおよひ左右中殿筋辺りの痛みの左右差は認められない。また、左右中殿筋に於ける圧痛も認められない。
【施術と結果】本症例は左右広背筋辺りと左右中殿筋辺りの痛みを訴えているが、触察により熱感、腫脹を確認できなかった為、痛みの要因として筋緊張による血行不良であろうと考察した。
左右の広背筋辺りの引張感と左右中殿筋辺りの症状を同時に訴えている事と左右中殿筋辺りの痛みは圧痛が認められなかった事から、痛み解消のポイントは第4腰椎(以下、L4)高位の広背筋起始部周辺の筋緊張による血行不良であろうと推測して触察すると左右共、腸骨陵上縁に筋緊張箇所を確認出来た。同部位に緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。その結果、左右広背筋辺りの引張感は主観で5割減少した。また、左右中殿筋辺りの可動痛(着座時、立ち上がり時)は10から0(NRS改変)と消失した。
効果が確認できた為、引き続きL4高位の左右腸骨陵上縁周辺の筋緊張箇所に緩消法を約10分行い筋弛緩を確認した。その結果、左右広背筋辺りの引張感は主観で消失したと喜びの表情での報告を受けた。
残り時間は再発防止の為には腰部全体の筋弛緩が必要と考え腰部側面から筋弛緩を更に進め終了した。