【患者】40代前半 女性
【主訴】右手をついた時や食器洗いで重い鍋を持った時、またパソコンのマウス操作など、作業をしているときに右手首が痛いことに気付いた。何がきっかけで痛くなったか記憶にないが、恐らく約1週間前の転倒だと思う。
【既往歴】―
【現病歴】約1週間前に、右手に荷物を持ったまま後方へ転倒した。その時は腰部及び臀部への衝撃が強かったため、右手関節を負傷したとは思っていなかったが、徐々に右手関節の痛みを感じるようになってきた。
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【現症】荷重位における右手関節背屈時に右尺骨茎状突起より約1cm内側に痛みが出現。また、右手関節掌屈時に右前腕伸筋群につっぱり感あり。安静時痛なし。
【施術と結果】本症例は、右尺骨茎状突起より約1cm内側に痛みが出現しているが、目視及び触察にて痛みを訴える部位の皮下出血や腫脹及び熱感が感じられないことから、右手関節動作に関連する右前腕伸筋群の筋緊張が痛みの要因と考えた。
はじめに、つっぱり感を訴える右前腕伸筋群を触察したところ、右肘関節後面から遠位約10cmの範囲に筋緊張を確認した為、緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した。結果、荷重位における右手関節背屈時の痛みが10から2(NRS改変)と小さくなった。次に、右尺骨茎状突起より約1cm内側の痛みを訴える部位に直接緩消法を約1分施術し筋弛緩を確認した。結果、右手関節背屈時の痛みが10から1(NRS改変)と小さくなった。
様々な手関節動作をすると、右前腕から手掌まで重だるさや痺れのような感覚を訴えた。その要因として、鎖骨下動脈の圧迫による血行不良と考え、右鎖骨上窩周辺を触察したところ、筋緊張を確認した為、緩消法を約2分施術し筋弛緩を確認した。結果、主観により重だるさのようなものはなくなり、軽くなったとの報告を受けた。右手関節背屈時の痛みは少し残存しているが、施術前より痛みが小さくなって喜んで頂けた。