【患者】50代後半、女性
【主訴】右の股関節が痛い
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約10年前に特に誘因なく右股関節前方に痛みが出現。以降、他院で種々の鎮痛薬を内服したことあり。痛みは、特に約2週間前から悪化した。訪問看護師の仕事をしており、一人で抱えたり入浴介助をしたり等の作業が多いため負担がかかったせいかもしれないとのこと。
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【現症】椅子からの立ち上がり後、痛みですぐに歩けない。
【検査所見】単純X線写真にて、右変形性股関節症(病期:進行期)の所見あり。
【施術と結果】まず、仰臥位にて、一番痛みが気になる部分を確認すると、右股関節前方の鼠径部中央から外側1/3にかけてであり、触察すると同部は筋緊張が高かった。筋緊張亢進が痛みの要因と考え、まず施術者①が、同部に緩消法を実施。約4分後、同部の筋弛緩を確認。歩行時の痛みは10から8(NRS改変)と小さくなった。
効果があったため、続けて同部に実施。約5分後、歩行時痛は10から6~7(NRS改変)と小さくなった。その後、同部に実施するも変化がなかったため、同部の筋緊張は腰部筋群の筋緊張と関連があると考え、腰部側面への施術(施術者②)へ移行した。腰部側面の筋緊張の程度は、小指押圧深約2cmであった。約10分間、腰部筋群に対して左右側面を中心に実施し筋緊張は軽減。小指押圧深は約4cmに変化。
しかし、歩行時痛は変化しなかった。そこで、鼠径部の筋緊張がまだ高すぎるためと考え、再度、右鼠径部への施術を行うことにした。約20分後、筋緊張の軽減を確認。歩行時痛は10から5(NRS改変)と半減した。また、主観で歩幅が大きくなって歩きやすくなり、椅子座位から立つ動作も楽になったとのこと。今後は、腰部筋群の筋緊張を更に軽減させることも必要な旨説明し、施術を終了した。
【その他】本症例は、当院(しん整形外科)にて、緩消法認定技術者の①渡邉・②筆者の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は②が行った。