【患者】70代後半 女性
【主訴】しゃがむと左膝の内側が痛い。階段を降りられない。
【既往歴】―
【現病歴】約15年前、日本舞踊の男踊りで左膝関節周辺に痛みを発症して以来正座が出来なくなったが、痛みに関しては日常生活に支障をきたすほどではなかった。無理をしたときには再発を繰り返していた。約3週間前、小さな低い椅子に腰掛けながら約4時間の草むしり作業後、腰部の痛みと左膝関節内側周辺に痛みを発症。約3週間の内に左膝関節内側周辺から左股関節周辺に痛みが移動し、現在は再び左膝関節内側周辺に痛みあり。なお、腰部の痛みは寛解傾向にある。また、階段は1段ずつ交互に足を降ろして降りられないので、1段ずつ両脚を揃えてゆっくり降りるか後ろ向きで降りている。
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【現症】左膝関節可動域(以下、ROM)は自動にて屈曲約70°で左膝関節内側周辺に痛みが出現。
【施術と結果】本症例は、約3週間の内に左膝関節内側周辺と左股関節周辺に痛みを訴えており、触察にて痛みを訴える部位の腫脹及び熱感がないことから、左大腿部周辺の筋緊張による血行不良が痛みの要因と考えた。
はじめに、左膝蓋骨上端より約10cm上方の左大腿部前面を触察したところ、筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約3分行い、筋弛緩を確認した。結果、左膝ROMは自動にて屈曲約90°と大きくなった。
次に、左膝蓋骨上端より約10cm上方の大腿部内側を触察したところ、筋緊張を確認した。同時に激しい痛みを訴えた。痛みを訴える筋緊張部位に緩消法を約20秒行い、筋弛緩を確認した。同部位周辺を触察していくと激しい痛みを訴える部位が次々と出現。激しい痛みが出現する部位に緩消法を合計約10分行い、筋弛緩を確認した。結果、左膝ROM屈曲約70°での左膝関節内側周辺の痛みは10から0(NRS改変)と消失した。また、左膝ROMは自動にて屈曲約100°と大きくなり、左膝ROM屈曲約100°での左膝関節内側周辺の痛みは10から5(NRS改変)と小さくなった。
久しくしゃがみ動作をしていなかったため、これ以上のしゃがみ動作は恐怖感があるとのことで、左膝ROMの確認はここまでとした。階段を降りてもらったところ、1段ずつ交互に足を降ろして降りられるようになり、大変喜んで頂けた。