【患者】50代前半、男性
【主訴】着替える時に右肩が痛くて動かしにくい角度がある。
【現病歴】約1年前から、特に誘因なく右肩が動かしにくくなった。特に、ジャケットの袖を通す時などに痛い角度がある。インターネット上の動画やストレッチの本を見て色々やってみたが変わらない。
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【現症】肩関節可動域(以下、ROM)は自動(右/左)で、屈曲約160°/約180°、外転約160°/180°、下垂位外旋(以下、ER1)約15°/約45°、90°外転位外旋(以下、ER2)約80°/約90°、90°外転位内旋(以下、IR2)約5°/約40°、水平内転約20°/約40°。IR2で最もROM制限があり、その次に、水平内転であった。
【検査所見】レントゲン写真にて、骨病変や石灰沈着なし。
【施術と結果】最もROM制限の強いIR2の状態を保持したまま、右肩関節周囲から腰部まで触察を行った所、右肩関節後方付近と、腰部右側の真横から2〜3横指腹側部分に筋緊張が高かった。腰部側面は、左よりも右のほうが筋緊張が高かった。また、ROM制限が強いIR2では痛みが出るが、水平内転では痛みは出なかった。よって、本症例は特にIR2と水平内転のROM制限があるが、主たる痛みはIR2のROM制限によるものと考えた。
従って、まず、IR2の状態保持の時に特に筋緊張が強い腰部右側から2〜3横指腹側部分に、施術者①が緩消法を行った。約2分後、同部の筋緊張減少を確認。IR2約5°での痛みは10から5(NRS改変)と半減し、約15°まで可能となった。効果があったため、同部に続けて施術者①が実施。約3分後、IR2約5°での痛みは10から0(NRS改変)と消失し、約30°まで可能となった。続けて同部に施術者①が約5分行うもROMに変化がなかったため、次に施術者②が腰部側面全体に実施。約10分後、IR2は約40°まで可能となった。
ジャケットを着る動作をしていただくと、痛みなく着れて喜んでいただけた。
【その他】本症例は、緩消法認定技術者の①筆者・②渡邉の2名で順次施術を行った症例であり、部位ごとに施術者が変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は①が行った。