【患者】80代後半 女性
【主訴】約8か月前から、右側のおしりから足にかけて痛みがある。右側のふくらはぎから足の指先まで痺れている。
【既往歴】大腸癌術後(約5年前)、転移性肺癌術後(約1年前)
【現病歴】約8か月前、坐骨神経痛の症状で近医に通院。夕方から痛みが増幅することが多く、就寝中に呻くほどの痛みが出現し中途覚醒が生じるため、痛みが増幅した時には鎮痛剤を服用している。近医では、耐え難い痛みが継続する場合にはブロック注射で痛みを抑制することも可能とのアドバイスを受けている。過去には接骨院での電気治療やマッサージ、その他鍼治療など様々な施術を受けてきた。
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【現症】右臀部から右下肢にかけて痛みが発生。また右下腿から足底にかけて痺れあり。
【施術と結果】本症例は、症状を訴える範囲が広範囲に及ぶことから、腰部の筋緊張が要因と考えた。更に右臀部から右下肢への痛みを訴えていることから、腸骨稜周辺の筋緊張による血行不良が痛みの要因と考えた。
はじめに、痛みを訴える右臀部の直上である腸骨稜周辺を触察したところ、筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約10分行い、筋弛緩を確認した結果、右臀部から右下肢への痛みは10から4(NRS改変)と小さくなった。
最も痛みを訴える部位が右下腿へと変化したため、右膝窩周辺を触察したところ、筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約5分行い、筋弛緩を確認した結果、右下腿の痛みは10から3(NRS改変)と小さくなった。
右臀部の残存する痛みが気になるとのことから、痛みを訴える右臀部の直上である腸骨稜周辺及び再発抑制を目的として腰部側面の筋緊張部位に緩消法を約10分行い、筋弛緩を確認した結果、右臀部から右下肢への痛みは10から1(NRS改変)と小さくなった。また、右下腿の痛みは10から0(NRS改変)と消失し、主観により右下腿から足底にかけての痺れも消失したとの報告を受けた。鎮痛剤を使用しないと我慢できなかった痛みが緩和されたことにより、ブロック注射を打たずに済みそうだと大変喜んで頂けた。