【患者】30代前半、男性
【既往歴】鎖骨骨折(2007年)
【主訴】寝る体勢が良くなかった時や、休みが少なかった時などに首の後ろから肩甲骨の辺りまでが痛くなる。ひどい時は気分が悪くなるくらい痛い。
【現病歴】約15年前に原付で単独事故をし、鎖骨骨折との診断にて保存加療を行った。鎖骨骨折は完治したのだが、事故後から、背部から頚部にかけて痛みが発生するようになった。
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【現症】両僧帽筋の起始部である後頭骨周辺から肩甲骨下角にかけて痛みがある。安静時にも痛みはあるが、特に肩関節の外旋動作時に両肩甲骨内側縁周辺の痛みが強くなる。
【施術と結果】本症例は、両僧帽筋の起始部である後頭骨周辺から肩甲骨下角にかけての痛みを訴えており、単独事故後の発生であることと、特に肩関節の外旋動作時に肩甲骨内側縁周辺の痛みが強くなることから、受傷当時に損傷があり、疼痛部位に筋緊張が残存していることが要因であると考えた。
まず、痛みを強く訴える両肩甲骨内側縁周辺に施術を行うこととし、触察にて筋緊張を確認した。両肩甲骨内側縁周辺を緩消法にてそれぞれ約1分弛緩したところ、痛みが10から8(NRS改変)となった。痛みに変化が確認できたため、引き続き同部位を緩消法にて各3分弛緩したところ、痛みが10から5(NRS改変)となった。
ここで、両肩甲骨内側縁の痛みよりも後頭骨周辺の痛みの方が強く感じられるようになったため、後頭骨周辺への施術を行うこととした。触察にて筋緊張を確認し、緩消法にて左右それぞれ約2分弛緩したところ、痛みは 10から1(NRS改変)となり、痛みはほとんど感じなくなったと報告を受けたため、両肩甲骨内側縁への施術を行った。両肩甲骨内側縁周辺を緩消法にて左右それぞれ約1分弛緩したところ、痛みは10から4(NRS改変)となった。
引き続き同部位に緩消法を行ったが、筋弛緩が芳しくなかったため、両肩甲骨内側縁周辺の筋緊張を誘発すると考えられる腰部の施術に移った。腰部を触察したところ、第3腰椎高位で両肩甲骨内側縁直下にあたる部位に約1cm大のしこりが確認できた。緩消法にて約30秒弛緩したところ、痛みが10から3(NRS改変)となった。
痛みに変化が確認できたため、引き続き同部位を緩消法にて約5分弛緩したところ、しこりが確認できなくなり、痛みは10から0(NRS改変)となった。「痛みがなくなったことにも驚いたし、肩甲骨がこんなに動くのが信じられない。」と笑顔で帰路につかれた。 後日、「痛みがなく、朝すっきり起きられることがとてもうれしい」とご連絡をいただいた。