【患者】10代前半 男性
【主訴】約2年前からサッカーをしたりダッシュをすると右膝が痛い。屈伸する時に痛い。右膝を触ると痛い。
【既往歴】オスグッド・シュラッター病
【現病歴】サッカーでのキック動作やダッシュ時及び両膝関節屈曲・伸展動作時に、右脛骨粗面周辺に限局した疼痛が約2年続いている。近医整形外科にてレントゲン検査を施行しオスグッド・シュラッター病と診断され、湿布薬を処方されていた。中学校のサッカー部に入部したが、安静にするよう指導を受けたことと、コロナの影響で部活動も中止になることが多く、ほとんど参加できずに過ごしている。
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【現症】
両膝関節屈曲・伸展動作時に、右脛骨粗面周辺に限局した疼痛が出現する。また同部位に圧痛も訴えている。安静時痛は無く、日常生活上の右膝関節可動域制限は確認できなかった。
【施術と結果】本症例は、約2年前から右脛骨粗面周辺に限局した疼痛を訴えており、触察と目視により腫脹や熱感を感じられなかった為、急性外傷ではないと考えた。
はじめに、圧痛を訴える右脛骨粗面周辺に、椅子座位にて緩消法を約2分行った結果、圧痛を訴える部位が移動し、両膝関節屈曲・伸展動作時の右脛骨粗面周辺の痛みが10から5(NRS改変)と小さくなった。痛みの変化があったことから、さらに圧痛を訴える部位に緩消法を約2分行った結果、主観により圧痛が小さくなり、両膝関節屈曲・伸展動作時の右脛骨粗面周辺の痛みは10から3(NRS改変)と小さくなった。
次に、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して脛骨粗面を牽引していることから、右大腿四頭筋周辺の筋緊張が痛みの要因と考え触察したところ、右膝蓋骨上端より約5cm上方に筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約2行い、筋弛緩を確認した結果、両膝関節屈曲・伸展動作時の右脛骨粗面周辺の痛みは10から2(NRS改変)と小さくなった。
次に、右大腿四頭筋の筋緊張の要因であると思われる右上前腸骨棘内縁の筋緊張を確認し、仰臥位にて緩消法を約2分行い、筋弛緩を確認した結果、主観により圧痛が消失し、両膝関節屈曲・伸展動作時の右脛骨粗面周辺の痛みは10から1(NRS改変)と小さくなった。
次に、残存する痛みの要因を腰部側面の筋緊張と考え、腰部側面の筋緊張部位に緩消法を約10分行い、筋弛緩を確認した結果、両膝関節屈曲・伸展動作時の右脛骨粗面周辺の痛みは10から0(NRS改変)と消失した。
腰部側面の筋が軟らかくなったことを実感していただき、腰部を弛緩することによりスポーツのパフォーマンス向上も期待できることから大変喜んで頂けた。