【患者】50代後半 女性
【主訴】25年程前に腰椎を骨折してから足の付け根の筋肉のこわばりが酷く、徐々に足の筋肉も痩せて、立っていたり歩くことがつらくなってきた。
【既往歴】脳脊髄液減少症、骨粗鬆症、慢性副鼻腔炎、胃炎
【現病歴】約25年前にパラグライダーで高さ約15mから落下し腰椎破裂骨折受傷、腰部後方固定術(自家骨移植)を行った。術後は荷重による両股関節痛が生じ、近医整形外科を受診したところ内科を勧められ血液検査を行うも異常無し。その後神経内科を勧められ鎮痛薬を処方される。
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【現症】両股関節痛は悪化の一途をたどり、現在は両股関節に安静時痛有り。起立動作における重心の前方移動期と歩行時の荷重応答期に両股関節の痛みが増悪する。
【施術と結果】本症例は、腰部術後から両股関節痛が生じていることから、腰椎破裂骨折受傷時と腰部手術による腰部の筋損傷から来る筋緊張と、それに伴う両股関節周辺の筋緊張が痛みの要因と考えた。
先ず両股関節の最も痛みを訴える部位を触察したところ、左右の鼡径部中央付近に筋緊張を確認した為、左右それぞれ緩消法を約2分ずつ施術し筋弛緩を確認した結果、起立動作における重心の前方移動期の両股関節の痛みは10から7(NRS改変)と小さくなったが、安静時痛と歩行時の荷重応答期の両股関節の痛みには変化が無かった。左右の鼡径部周辺にまだ筋緊張を確認した為、同部位に緩消法を約2分ずつ施術し筋弛緩を確認した結果、起立動作における重心の前方移動期の両股関節の痛みは10から6(NRS改変)と小さくなったが、安静時痛と歩行時の荷重応答期の両股関節の痛みには変化が無かった。
安静時痛と歩行時の荷重応答期の両股関節の痛みの改善が見られない為、両股関節の筋緊張の要因と考えられる腰部を触察したところ、腰部全体に筋緊張を確認した為、施術部位を腰部側面に移し緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認した結果、両股関節の安静時痛は10から7(NRS改変)と小さくなった。改善が見られた為、続けて同部位に緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認した結果、両股関節の安静時痛は10から5(NRS改変)と小さくなった。
両股関節の安静時痛は半減したものの、起立動作における重心の前方移動期と歩行時の荷重応答期の両股関節の痛みには変化が無かった為、腰椎破裂骨折受傷時に筋損傷を起こしたと考えられる腰部正中付近を触察したところ、第3腰椎から第4腰椎高位で棘突起から左右に約6cmの範囲に強い筋緊張を確認。同部位周辺に緩消法を約10分施術し筋弛緩を確認した結果、両股関節の安静時痛は10から4(NRS改変)と小さくなり、起立動作における重心の前方移動期の両股関節の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなり、歩行時の荷重応答期の両股関節の痛みは10から5(NRS改変)と小さくなった。
まだ痛みが残存しているものの、痛みが半減した事により痛みが無くなる可能性を感じたと笑顔でお帰り頂いた。