【患者】50代後半 男性
【主訴】2日前の夕方から特に原因もなく、ぎっくり腰になってしまった。
【既往歴】高血圧症
【現病歴】約15年前を最後に腰痛が発症する事はなかったが、2日前から特に誘因なく急性腰痛が発症した。
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【現症】安静時痛はなく、疼痛が発現するのは動作痛のみである。
特に騎座位から立ち上がり動作時に第4腰椎(以下、L4)高位で棘突起から左右に約10cmの範囲の動作痛が著明であり、疼痛は高度である。その他、起立歩行時は胸腰部の完全伸展位は疼痛の為、不可であり、胸腰部関節可動域(以下ROM)は自動で伸展約−20°であった。
【施術と結果】本症例は2日前から発症した急性腰痛であるが、発症機転が特に誘因なく、更に触察及び目視により、疼痛を感じるL4高位の棘突起から左右約10cmの範囲の筋に腫脹や熱感を確認出来なかった事から疼痛の要因は同部位の筋緊張による血行不良と考察した。
更に、本症例の症状が騎座位から立ち上がり動作痛や起立歩行時の胸腰部伸展痛である為、主に脊柱起立筋群の筋緊張が多く関わっていると考えた。
また、この脊柱起立筋群の筋緊張は腰部側面の筋緊張が要因であろうと考え、同部位に触察により、筋緊張を確認し、緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。押圧深は施術前の約0.5cmから約1cmになり、騎座位からの立ち上がり動作痛は10から7(NRS改変)になった。効果が確認出来た為、さらに同部位に約10分緩消法を行い、筋弛緩を確認した。押圧深は約2cmになり、騎座位からの立ち上がり動作痛は10から5(NRS改変)になった。加えて歩行痛は10から0(NRS改変)になり、起立歩行時の胸腰部完全伸展位も可能になった。(胸腰部ROMは自動で伸展約0°)
その後は騎座位からの立ち上がり動作痛が残存する為、引き続き腰部側面の筋緊張部位に緩消法を約15分行い筋弛緩を確認した。押圧深は約3cmになり、騎座位からの立ち上がり動作痛は10から1(NRS改変)になり、当日の施術は終了した。明日は仕事に行かれそうとの報告を受けた。