【患者】60代後半 女性
【主訴】両足膝下から足先までの感覚がなく、全体的に痺れていて、力が入りにくい。手術を勧められているが出来れば手術は避けたい。
【既往歴】肺腺癌、骨粗鬆症、左膝人工骨頭置換術後
【現病歴】約6ヶ月前から要因なく
左右の下腿部全体、特に左右膝関節から末梢の左右全足趾までの範囲に
ご本人の主観による感覚鈍麻、痺れがあり、筋力低下を感じ、近医整形外科を受診し、脊柱管狭窄症の診断を受け手術を勧められた。手術を避けたい想いから、緩消法の会員である娘さんの紹介で来院された。
続きを読む
【現症】症状を訴えられている部位は左右膝関節から末梢の左右全足趾
までの範囲の感覚鈍麻と痺れ及び
筋力低下であるが、疼痛は認められない。左膝関節は人工骨頭置換術後の為、最大屈曲は出来ない(関節可動域は計測せず)が、その他下肢の関節に於いての機能障害は確認できない。また、症状を訴える左右膝関節から末梢の左右足趾までの範囲に皮膚感覚の消失は認められない。
歩行は可能であり、観察上の明らかな筋力低下は認められない。
【施術と結果】本症例はご本人の主観として左右膝関節から末梢部の感覚鈍麻、機能麻痺様な症状を訴えられていたのだが、機能障害、皮膚感覚の消失、明らかな筋力低下が実際には確認出来なかった為、それらの訴えは下腿部全体の痺れによるものではないかと考えた。
施術方針として、左右膝関節から末梢全体に於ける痺れであった為、鼠径部の筋緊張による血行不良であろうと考察の上、先ず右鼠径部を触察すると右大腿動脈と思われる周辺部位に筋緊張を確認した。同部位に緩消法を約30秒行い、筋弛緩を確認した。その結果、右膝関節から末梢部の症状がご本人の主観で5割改善した。効果が認められた為、同部位の残存する筋緊張部位に緩消法を約30秒行い、筋弛緩を確認した。
その結果、右膝関節から末梢部の症状が主観で消失し、何でもないと報告を受け、付き添いで見学させていた娘さんも驚かれていました。次に同様に左鼠径部の筋緊張を触察により確認し、緩消法を約1分行い筋弛緩を確認した。その結果、左膝関節から末梢部の全足趾までの範囲の感覚鈍麻と痺れ及び筋力低下を訴えていた症状はご本人の主観で消失した。その後は鼠径部の筋緊張の要因は腰部の筋緊張が根本的な要因と考え、触察により腰部の筋緊張を確認し、約20分腰部の側面から緩消法を行い筋弛緩を確認し、押圧深は約3cmとなったところで当日の施術は終了した。
まだ、腰部の筋緊張が残存する為、寛解した訳ではないものの、症状が改善し安心した表情で帰路につかれた。