【患者】 80代前半、女性
【既往歴】 高血圧症
【主訴】 約3年前から左足が重だるくて階段を上がる時や、足をあげる動作が難しい。また、左足が浮腫んでいて、両足全体がしびれている。
【現病歴】 約3年前から誘因なく左下肢の浮腫と重だるさが発症し、同時期に両足底と両足背にしびれが起こる。近医整形外科、内科での検査では異常は認められなかった。その後特に加療せず、自分で体操やストレッチを行ってきたが徐々に増悪してきたため当院に受診された。
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【現症】歩行時の遊脚期において左下肢が重く前方へ出し辛い、足踏み動作では左股関節屈曲時に重さを訴え、左股関節屈曲約20°の挙上が限界であった。左下肢(主に下腿)に浮腫があり、両足底、両足背にシビレがある。
【施術と結果】 本症例は、浮腫、しびれ、重だるさを訴えており、近医整形外科、内科での検査で異常を伝えられていない事から腰部、鼡径部や膝窩の筋緊張による両下肢への血行不良が要因であると考えた。
先ず、左下肢の浮腫と重だるさの要因と考えた左鼡径部周辺を触察したところ左鼡径靭帯の中央部周辺から大腿全面遠位約1~2cmの範囲に筋緊張を確認し、同部位に大腿動脈と思われる拍動を確認できた。緩消法にて約30秒施術し筋弛緩を確認した結果、左下肢の重だるさが主観で8割減少したため、歩行動作を確認すると遊脚期おいて右下肢と同程度の動きが出来るようになり、足踏み動作時には左股関節屈曲は約90°まで大きくなった。また、左足背のシビレが主観で6割減少した。
左鼡径部の筋緊張が消失しても左足底のシビレが残存していたため、膝窩動脈の圧迫が要因と考え左膝窩を触察したところ筋緊張を確認した。約1分施術し筋弛緩を確認した結果、足底のシビレおよび足背のシビレも主観で消失した。次に右足背、足底のシビレの要因は右膝窩動脈の圧迫が要因と考え右膝窩を触察したところ筋緊張を確認し約30秒施術し筋弛緩を確認した結果、右足背、足底のシビレは主観で消失した。
下肢の症状は腰部の筋緊張が根本的な原因であると考え腰部を触察したところ、腰部左側の腰方形筋周辺の筋緊張が強い事を確認した。再発防止のため腰部へ30分施術し筋弛緩を確認し本日の施術を終了した。帰り際に、左下肢の浮腫を確認したところ主観で9割減少していた。「これでまたジムに通って好きな運動ができるわ」と笑顔で帰路につかれた。