【患者】40代後半 男性
【主訴】首を後ろに倒すと首につっぱり感があり、背中からたこ糸で引っ張られてる感じがする。首の中の方でバキバキ音もする。
【既往歴】-
【現病歴】約30年前の交通事故と、約25年前からスノーボードのワンメイクを始め、約5mのジャンプ台から飛んで着地する際、背部から落下する等の負傷を繰り返していた。約20年前から頚部伸展の際、つっぱり感と共に背部からの引張感あり。同時に軋轢音も発現。約2年前から顕著になり苦痛とのこと。
【現症】自動運動による頚部関節可動域(以下、ROM)は、腰かけ座位にて、左側屈約30°、右側屈約25°であり、伸展は約45°だが、伸展約30°で両頭半棘筋の停止部周辺につっぱり感と引張感及び軋轢音が発現。その他頚部ROM制限は認められなかった。
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【施術と結果】本症例は、過去の交通事故やスノーボードの際の落下による頚部への衝撃を繰り返していることから、頚部の筋緊張による血行不良が要因と考えた。
はじめに、つっぱり感を訴える部位を触察すると、両頭半棘筋の停止部周辺に筋緊張が確認出来た。まず、筋緊張の強い右頭半棘筋の停止部周辺の筋緊張部位に緩消法を約2分行い、筋弛緩を確認した。結果、右頭半棘筋の停止部周辺のつっぱり感が主観により3割減と報告を受けた。症状の改善が見られた為、同部位周辺の筋緊張部位に緩消法を約2分行ったところで、第3頚椎(以下、C3)棘突起より約2cm右外側に約2mm大のしこりを確認した。緩消法を約2分行い、筋弛緩を確認した結果、しこりは触察しても感じられず消失したと考えられ、右頭半棘筋の停止部周辺のつっぱり感が主観により7割減と報告を受けた。
引き続き、右頭半棘筋の停止部周辺から起始部周辺の筋緊張部位に、緩消法を約3分行い、筋弛緩を確認した結果、右頭半棘筋の停止部周辺のつっぱり感が主観により8割減と報告を受けた。この時点で左頭半棘筋の停止部周辺のつっぱり感が強く感じられるようになったことから、左頭半棘筋の停止部周辺から起始部周辺の施術に移行した。同様の流れで筋緊張部位に緩消法を約4分行い、筋弛緩を確認した結果、左頭半棘筋の停止部周辺のつっぱり感が主観により消失したとの報告を受けた。
伸展動作時に後頚部から背部の範囲で引張感があると訴えていたことから、引張感の要因は腰部後方の第12肋骨直下部の筋緊張と考え、緩消法を約2分行い、筋弛緩を確認した。結果、主観により伸展動作時に発生する背部からの引張感が消失し、肩全体が軽くなったとの報告を受けた。
次に、後頚部の筋緊張の要因として、腰部の筋緊張が考えられることを説明し、再発抑制の為、腰部両側面の施術に移行した。腰部両側面の筋緊張を確認し、緩消法を約10分行い、筋弛緩を確認した。
結果、自動運動による頚部ROMは、腰かけ座位にて左右共に側屈約45°、伸展約50°と大きくなり、主観によりつっぱり感と背部からの引張感も消失し、「臀部から膝下まで緩んだ感じがする」との報告を受けた。また、軋轢音も消失した。全体的に体が軽くなり、こんなに軽くなるものなのかと驚いていた。また施術後は体がポカポカして血行が良くなったと大変喜んで頂けた。