【患者】40代後半 女性
【主訴】慢性的に凝っていたが、特に1年程前から左首から肩にかけて痛くなり、いろいろやってみたが良くならないので先生に痛みをとってもらいたい。
【既往歴】ー
【現病歴】何年前からは不明だが、慢性的に頚部並びに左肩の凝り、疼痛があり、1年程前から仕事の関係で左手で重い物を持つ動作が多くなり症状が悪化。鎮痛剤の服用、ストレッチ、マッサージ、鍼、など試みたが改善せず、仕事を辞めて一時的に軽減するも、約1ヶ月前から事務仕事に転職し、パソコン作業により再び頚部痛、左肩の凝りが悪化し来院された。
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【現症】左肩の凝りは僧帽筋辺りが著明であり、その他、左鎖骨大胸筋側周辺筋、頚部全体に凝り感を訴える。頚部左側後面近位から左肩甲骨上角辺りにかけての後屈時の動作痛も認める。
【施術と結果】本症例の頚部左側後面近位から左肩甲骨上角辺りにかけての後屈時の動作痛は、発症機転から筋緊張による血行不良であろうと考えた。確認の為、目視並びに触察をするも腫脹、熱感は認められなかった。また、肩凝りを訴える左僧帽筋辺りと左鎖骨大胸筋側周辺及び頚部全体の筋緊張の要因として腰部の筋緊張が影響しているのではないかと推測した。
先ず一番強く疼痛を訴える頚部左側後面近位から左肩甲骨上角辺りの疼痛箇所を本人の指示により確認し、触察したところ筋緊張を確認した。同部位に緩消法を約30秒行い筋弛緩を確認した。その結果、頚部左側後面近位から左肩甲骨上角辺りの後屈痛は10から8(NRS改変)になった。効果が認められた為、更に同部位周辺に緩消法を行っていたところ、筋の収縮に制限のある癒着と思われる箇所を確認した為、さらに同箇所に緩消法を1分行い、筋の収縮制限が解消させた事を確認した。その結果、頚部左側後面近位から左肩甲骨上角辺りの後屈痛は10から0(NRS改変)になった。但し頚部全体の凝り感は確認せず。次に肩凝り感を訴える左僧帽筋辺りを触察により筋緊張を確認し、同部位に緩消法を約30秒行い筋弛緩を確認した。その結果、主観で約3割凝り感が減少した。
但し、僧帽筋辺りの筋緊張度合いが強い事と筋緊張が広範囲に及ぶ事を確認した為、腰部の筋緊張を弛緩する事の方が有効と考え、一旦、同部位への施術は中止し、次に左鎖骨大胸筋側周辺の筋緊張を触察により確認し、同部位に緩消法を約1分行い筋弛緩を確認した。その結果、同部位の凝り感が主観で約5割減少した。但し、この左鎖骨大胸筋側周辺の筋緊張も広範囲に及ぶ為、左僧帽筋辺り同様、腰部の筋緊張を弛緩させる事の方が有効と考え、一旦、同部位への施術を中止した。
次に腰部の筋緊張を触察により確認し、第2腰椎〜第4腰椎高位の腰部真横周辺の筋緊張部位に正中に向かって緩消法を約20分行い筋弛緩を確認した。その結果、押圧深は約1.5cmから約4cmになり、肩凝りを訴える左僧帽筋辺りと左鎖骨大胸筋側周辺及び頚部全体の凝り感は主観で消失した。
再発を防ぐ為、更なる腰部の筋弛緩を進める施術の予約をされて帰路につかれた。