【患者】50代後半男性
【主訴】仕事で重い物を持つと、親指の付け根が痛くなってきて持てなくなる。
【既往歴】
【現病歴】約1年半前より発生し、15cm幅の厚みがある重量物を四指は底面・母指は上面で把持し持ち上げ、移動動作をすると疼痛が増強し作業困難となる。1日の最初の時間帯では症状が軽いが徐々に酷くなる。近医整形外科受診し、ド・ケルバン病と診断された。外用薬を処方頂き塗布する。後に数回通院するが外用薬のみであった為、近隣整骨院に2ヶ月通院したが、変化がなかった為、サポーターを手関節に固定して仕事作業をしていた。ネット検索をし当院を受診した。
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【現症】左右手関節とも把持運動痛はあるが、左側が右に比べて痛みが強い。フィンケルシュタインテスト左右とも(+)左>右であった。
【検査所見】
【施術と結果】本症例は、診断がありフィンケルシュタインテスト陽性であった為、手関節外側「タバチュール窩」外側の2本の腱、長母指外転筋腱・短母指伸筋腱が原因である。その疼痛はそれぞれ長母指外転筋・短母指伸筋の筋緊張が要因の一つと考えた。
まず、左前腕の後面外側の筋緊張に対して緩消法を約1分行なった。弛緩を確認した為、テストを実施すると(+)ではあるが痛みが10から5(NRS改変)に小さくなった。続けて緩消法を約5分行い筋弛緩を確認した。テストすると痛みが10から0(NRS改変)に消失した。次に右手関節の同一部位に緩消法を約5分行う。筋弛緩を確認後テストすると、痛みが10から0(NRS改変)に消失した。15cm幅ではないが約5cm幅のテーブルを持ち上げる動作にて痛みが発生しなかった為、驚かれた。
前腕の筋緊張が続く原因は腰の筋肉の緊張であるとお伝えし、硬いままだと再発する事を話す。腰部筋を弛緩すると血液循環が良くなり、上半身から腕への治癒力が向上して再発予防になると説明した。ご理解頂いたため、腰部筋に緩消法を側部から約20分行い、筋弛緩を確認でき押圧深約3cmとなり当日の施術を終了した。
後日、仕事での痛みが3割以下になったとご報告いただき、腰部筋の弛緩を続けるようにお話をした。