【患者】60代前半 女性
【主訴】体が曲がってしまったので治したい。左腰と左股関節、左膝が歩くときに痛む。
【既往歴】脊柱管狭窄症
【現病歴】草花生産を行っている為、立ち仕事や、重い物を運ぶことが多く、日頃から腰痛があり、鍼治療や整骨院に通院していた。段々と体が右に傾くようになってきたことと、痛みが左腰から左股関節や左膝にも出始め、5ヶ月前に近医整形外科を受診。MRI、CT施行し脊柱管狭窄症と診断。ブロック注射、痛み止めを処方され一日2回服用している。
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【現症】第10胸椎(以下、T10)から第3腰椎(以下、L3)にかけて約8°右に傾いてしまうようになる。左股関節、左膝内側に熱感、腫脹は無く、歩行はゆっくりであれば可能。
【施術と結果】触察にて、腰部全体に筋緊張が見られたが、特に第2腰椎(以下、L2)から第4腰椎(以下、L4)高位の棘突起より約2cm右側筋群の筋緊張が顕著であった。左股関節部は左上前腸骨棘内側に筋緊張を確認。常に疼痛があるが、関節可動域(以下、ROM)自動は問題ない。左膝は内側の縫工筋停止部辺りに筋緊張あり。
本症例は、腰部筋肉の広範囲に筋緊張がみられたことと、L2からL4の棘突起より約2cm右側筋群の筋緊張が顕著であったことから、要因は、腰部筋群の筋緊張で、腰部右側筋群の筋緊張による引張が側弯を誘発させていてると推測した。腰部側面筋群の体表より押圧深左約1cm。右約5mm。
また、左股関節、左膝の疼痛の要因は腰部筋群の筋緊張によるものと推測したため、腰部筋群の筋弛緩をもって様子を確認してゆこうと判断した。
座位にて、腰部側面の腹斜筋辺り、腰方形筋辺りの筋緊張部位に約10分施術。押圧深左約3cm。右2.5cm。腰部の歩行時の痛み10から6(NRS改変)。身体の傾きは変化ほぼなし。
続いて、右第12胸椎(以下、T12)肋骨下から右L2高位の起立筋辺り及び、腰方形筋辺りの筋緊張部位周辺約3㎠と右上前腸骨棘内側約2cm周辺の筋緊張部位に約10分施術し筋弛緩を確認。腰部側面押圧深左約5cm。右約4cmとなった。腰部の歩行時の痛み10から3(NRS改変)左股関節痛み10から2(NRS改変)、左膝の痛み10から0(NRS改変)、身体の傾き約3°に変化。ご本人の主観で真っ直ぐに立てるようになったと言われ、颯爽とお帰りになられました。