【患者】20代後半 男性
【主訴】半年くらい前のジョギング中に左脚の脛が痛くなって、走ると痛い。
【既往歴】ー
【現病歴】自衛官をしている為、普段から訓練でジョギングをしているが、約6ヶ月前に長距離走をしていた際に左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りに痛みが発現し、近医整形外科を受診し検査の結果、シンスプリントと診断された。しばらく安静を心掛けるも改善せず、2ヶ月後に実施される昇級試験での長距離走に痛みなく臨みたいと来院された。
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【現症】疼痛箇所は目視及び触察により熱感や腫脹は確認できなかった。安静時痛や走行時以外の日常動作痛はなく、圧痛が現存する。
【施術と結果】本症例はシンスプリントと診断された痛みを訴えており、スポーツ障害である為、筋挫傷の可能性も考えられたが、触察により熱感や腫脹が確認出来なかった事や、安静時痛や日常動作痛がなかった事から、痛みの要因は痛みを訴える左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りの筋群の筋緊張による血行不良であろうと考えた。
さらには下腿の筋群を緊張させる要因として腰部深層筋の筋緊張があるのではないかと推測した。先ず最初に痛みを訴える左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りの筋緊張を触察により確認し、同箇所に緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。その結果、左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りの筋群の圧痛が10から8(NRS改変)になった。
引き続き、左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りの筋群を中心に範囲を広げて下腿屈筋群辺りに約10分緩消法を行ない、筋弛緩を確認した。その結果、左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りの筋群の圧痛が10から5(NRS改変)になった。
触察の結果、下腿屈筋群の筋緊張が強いと感じられた為、下腿部の筋緊張の要因として推測した腰部深層筋を弛緩しようと考え、次に腰部の筋を触察し、左腰部の筋緊張を確認した為、腰部側面の表層から順番に深層筋を弛緩させる事を考え、第3.第4腰椎の高位辺りの左腰部側面表層の筋緊張部位を正中に向かい緩消法を約15分行ない、押圧深は第3.第4腰椎横突起まで約5mmまで筋弛緩出来た。その結果、左下腿部中下1/3内側脛骨後方辺りの筋群の圧痛が10から0(NRS改変)となった。
痛みが解消され安堵の表情で帰路につかれた。