【患者】60代後半 女性
【主訴】右手、腰、膝などの痛みで特に朝はロボットの様な感じ。左手も痺れていて病院で検査をしたら、リウマチの疑いと診断され、リウマチの薬を出されたが、出来れば薬は飲みたくない。
【既往歴】高血圧症、高脂血症、第9.12胸椎圧迫骨折
【現病歴】特に誘引なく、約3年前の腰部痛発症から始まり約7ヶ月前から右手関節並びに右中指近位指節間関節(以外、PIP)痛、約4ヶ月前から左右膝蓋骨周辺部痛並びに左右足関節痛、約1ヶ月前から左上腕部内側から小指にかけての痺れがあり、慢性関節リウマチが心配になり、近医整形外科を受診し検査の結果、リウマチの疑いという診断でリウマチ薬を処方された。薬を飲むと症状は緩和するのだが、出来るだけ薬は飲まないで痛みを取りたいと当院通院中の患者さんの紹介で相談の電話を受けた。電話対応し、事情をお聞きした上で別の病院での再検査を勧めたが、検査の結果は慢性関節リウマチとの断定はなく、当院に来院された。
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【現症】疼痛箇所は複数あり、朝起床時に増悪傾向にある。時間の経過と共に症状は軽減し、日中は痛みを感じない事もある。来院時の症状としては右中指PIP背側の屈曲痛、左上腕内側から左小指にかけての痺れ感、腰部全体の安静時痛(運動痛に関しては確認せず)、左右膝蓋骨周辺部痛が確認出来、歩行動作時に跛行あり。
【施術と結果】本症例は複数箇所の痛みを訴えてはいるが、それぞれの疼痛箇所の発症機転や症状、及び病院での検査結果から疼痛箇所の筋緊張による血行不良が痛みの要因であろうと推測した。
先ず、当日の疼痛箇所の改善したい優先順位を確認した結果、一番疼痛が強いと右中指PIP背側の屈曲痛を回答。右前腕伸筋群の筋緊張が要因と考え、触察により右前腕部背側遠位1/3辺りの伸筋群に筋緊張を確認し、緩消法を約30秒行い筋弛緩を確認した。その結果、右中指PIP背側の屈曲痛は10から0(NRS改変)になった。次に疼痛が強いと左上腕部内側から小指にかけての痺れ感と回答。痺れ感の要因であろうと推測した左鎖骨近位1/3辺りの胸鎖乳突筋辺りの付着部周辺の筋緊張を触察により確認し、緩消法を約30秒行い筋弛緩を確認した。その結果、左上腕部内側から小指にかけての痺れ感が主観で0になった。これには驚かれた様で、30秒の施術を待たずに痺れ感がなくなった事を報告していただいた。
次に腰部全体の安静時痛を含めた左右膝蓋骨周辺部の主に歩行痛を訴えられたので、要因として腰部の筋緊張が下腿への血行不良と、鎖骨周辺と上肢の筋緊張の要因と考え、腰部の筋弛緩が全身の筋緊張を抑制出来ると、ご本人にも説明し、触察により確認した腰部の筋緊張部分に腰部側面から正中に向かい緩消法を残り時間の30分間行い、筋弛緩を確認した。(押圧深は左右共約3cm)その結果、腰部の安静時痛は10から1(NRS改変)となり、左右膝蓋骨周辺部痛は歩行痛が10から0(NRS改変)になった。
歩行もスムーズになり跛行は確認出来なくなり、来院時に訴えていた痛みがほぼ解消され安堵の表情が感じられた。