【患者】10 代前半 男性
【主訴】腰を撚ったり、押したりすると右側の腰が痛い。前屈すると右側のお尻が痛い。
【既往歴】側弯症(約1年前〜)・起立性調節障害(近医小児科3ヶ月前より通院)
【現病歴】約1年前から右腰部に運動痛が出現し、近医にて側弯症の診断を受ける。野球部の週4日の練習はこなしてきたが、3ヶ月程前からバット素振りの回旋動作で右腰部痛が1年前に比べ増大している。又、右腰部痛の増大と共に前屈動作で右臀部に痛みが発現する。
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【現症】通常の痛みはなく、運動に伴う動作で痛みが出現する。自動での右回旋可動域(以下ROM)約30°で第3腰椎、第4腰椎(以下、L3、L4 )辺りの右脊椎起立筋、右腰方形筋周辺部に痛みが出現する。又、立位にて胸腰部自動最大屈曲は指先から地面の間約35cmで右臀部の仙骨下部付近から寛骨周辺部の筋群に痛みが出現する。腰部、臀部共に腫脹、熱感は無い。安静時痛も無し。
【施術と結果】本症例は通常の痛みはなく、運動を伴う運動痛である事、及び腫脹や熱感も無い事から、筋肉疲労を伴う筋緊張が痛みの要因であると推察した。触察にて痛みのあるL3、L4 辺りの右脊椎起立筋、右腰方形筋周辺部に筋緊張を確認した。
又、右臀部の仙骨下部付近から寛骨周辺部の筋群に筋緊張を確認した。本症例の痛みは右腰部痛から始まり、臀部の痛みが発現している事から右腰部の筋緊張部を弛緩する事で臀部痛も改善すると推察し、施術は右腰部側面から正中に向かい腰部の緊張した筋群を弛緩する事にした。左右腰部側面からL2,L3の高位正中に向かい約5 分緩消法を行い筋弛緩を確認する。右回旋動作での右腰部の痛みは10から8(NRS改変)と小さくなった。
腰部の痛みの減少を確認した為、更に約10分緩消法を行う。筋弛緩を確認し、結果、回旋動作での痛みは10から5(NRS改変)と小さくなった。胸腰部の屈曲動作での臀部の痛みは10から9(NRS改変)と小さくなった。更に腰部側面からL2,L3,L4の高位正中に向かい施術の範囲を広げ、約10分緩消法を行う。回旋動作での右腰部の痛みは10から3(NRS改変)、胸腰部屈曲動作での臀部の痛みは10から6(NRS改変)と小さくなった。痛みの軽減を確認した為、更に約15分緩消法を行った。回旋動作での右腰部の痛みは10から0(NRS改変)と消失した。胸腰部屈曲動作での臀部の痛みは10から3(NRS改変)と小さくなった。
臀部の痛みが残った為、再度右腰部を触察すると、痛みのある臀部直上の右腸骨稜周辺部とL4高位の脊椎起立筋周辺部に緊張した筋群を確認した。緊張した筋群に約5分緩消法を行う。臀部の痛みは10から0(NRS改変)と消失した。自動回旋ROMは約40°と大きくなり、立位での胸腰部最大屈曲は指先から地面まで約10cmとなった。
運動痛は消失し、可動域も大きく改善し、喜んで頂いたが、筋緊張は残存している事を説明させて頂いた。