【患者】40代後半 男性
【主訴】昨日入浴中、風呂桶を持ったら、腰に今迄感じた事のない強い痛みがでて、動けない。
【現病歴】約8年前より飲食店の仕事で12時間以上立位でいる事が多く、1年間で2〜4回は急性腰痛症を発症していた。半年以上急性腰痛は無く、安堵していた矢先、風呂桶を持上げた瞬間から今迄の急性腰痛と比べ遥かに強い激痛が腰部に発現した。今迄の急性腰痛では比較的痛みの少ない体位があったが、この度は少しの可動にも痛みが強く発現する為、身動き困難な状態。一夜明け、車の運転と両手に杖を用いての歩行が可能となり、来院された。
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【現症】腰部の痛みが強過ぎる為、具体的に何処が痛いのか自分では不明との報告を受ける。座位が可能であり、座位にての左側屈動作で左腰部に激痛があることが判明した。自動可動域(以下、ROM)は約5 °。疼痛部は左腰椎2番、3番(以下、L2,L3)辺り、第12番肋骨下部周辺の脊椎起立筋郡、腰方形筋周辺と推察し、触察すると左腰部L2、L3脊椎起立筋郡、腰方形筋辺りに筋硬結のようなものを確認した。炎症、腫れは無い。安静時痛あり。
【施術と結果】炎症、腫脹は無いが、急激な痛みが発現している為、筋断絶も考えた。その為激痛部周辺部の直接の施術は行わず、痛みの少ない左腰部側面から正中へ向かい、小さい可動での緩消法で筋弛緩を行い、筋弛緩を行う事で自動側屈ROMを除々に大きくしながら、激痛部のL2,L3辺りの左脊椎起立筋群、腰方形筋周辺の筋硬結のような筋緊張部位に向かう施術を考えた。まず座位にて左腰部側面の高位L3、L4の正中に向かい、痛みの少ない自動側屈約5°以下で約5分緩消法を左腰部側面に実施し、腰部側面が弛緩した事を確認した。痛みの変化は無いが、自動側屈ROMは約10°まで痛みがない状態となった。
更に約5分左腰部側面に緩消法を施術する。結果、左右共に自動屈曲ROM約10°可能となり、左右両方の腰部側面を自動側屈ROM約10°で側屈し、約5分緩消法を施術する。筋弛緩を確認し、結果痛みの変化は無いが、腰部側面から自動側屈ROMは約15°となった。次に腰部側面の施術部位を約2cm上部に移行し、激痛部のL2,L3の高位から正中に向かい腰部側面から自動側屈約15°で約10分緩消法を行う。結果痛みは10から7(NRS改変)と小さくなった。
痛みの変化があった為そのまま約10分施術を継続する。筋弛緩を確認し結果、痛みは10から4(NRS改変)と小さくなる。更に継続して約15分緩消法を行い、筋弛緩を確認。痛みは10から2(NRS改変)と小さくなる。更に約15分緩消法で施術すると痛みは10から0(NRS改変)と消失した。又、自動側屈ROMは約25°となる。
帰り際に「緩消法で本当に杖がいらなくなるんですね」と笑顔で報告を受けた。