【患者】90代後半 女性
【主訴】右のお尻や太腿が痛くて歩けないし、座る事も出来ない。
【既往歴】糖尿病
【現病歴】ご高齢ではあるが、それまで何処も痛い所が無く、普通に生活出来ていた。しかし、約1週間に座位姿勢で押し入れの襖を開けた際に、右臀部を発症。それ以降、臀部右側の痛みが増大し、右鼡径部から右大腿部前面の痛みも発現し、歩行困難は勿論の事、座る事も困難になり、寝たきり状態になってしまった。近医にて投薬加療をするも改善する事なく、ネットで緩消法を知り当院に来院された。
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【現症】右臀部痛が著明で歩行困難は勿論の事、座位姿勢保持は不可。
但し、仰臥位では安静時痛も運動痛も認められない。腰部及び右鼡径部の筋緊張は著明である。右臀部の熱感は触察にて、確認出来なかった。
【施術と結果】本症例は約1週間前に発症した臀部痛を主とした症状であり、発症機転を考えると筋挫傷も考えられなくは無いが、安静時痛がなく、仰臥位では運動痛も無く、更には触察にて臀部の熱感も確認出来なかった為、腰部の筋緊張による臀部並びに下肢への血行不良が要因であろうと推測した。
通常、緩消法の施術は座位、若しくは立位にて行うものだが、何方も不可である為、ベッドにて仰臥位で腰部の筋緊張部位を触察にて確認し、同部位に側面から正中に向かって緩消法を左右それぞれ約5分ずつ行い筋弛緩を確認した。押圧深が左右共、約2cmになった。その結果、臀部痛は10から8(NRS改変)になり、座位姿勢保持が可能になった。次に座位姿勢で触察により確認した遠位広背筋付着部の腸骨陵上縁周辺の筋緊張部位に緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。臀部痛は10から5(NRS改変)になった。
さらに広背筋及び触察により確認した腰方形筋辺りの筋緊張部位に緩消法を約10分行い、筋弛緩を確認した。押圧深は左右共、約4cmになり、その結果、座位時の臀部痛が10から0(NRS改変)になり、ご本人は勿論、見学されていた息子さんも驚きの表情。
次に鼡径部から大腿部の痛みも訴えられていた為、座位にて触察により確認した鼡径部の筋緊張部位に緩消法を約1分行い、筋弛緩を確認した。その結果、座位での鼡径部及び大腿部前面の痛みが10から0(NRS改変)になった。
施術が終わり歩行の確認をした所、自力での単独歩行は不安定感の為、出来なかったものの、手をとっての介助歩行が出来る様になり、治る希望が持てたと話され、歩いて玄関を出て帰路につかれました。