【患者】80代前半 男性
【主訴】首が常に苦しくて重だるさや突っ張り感もある。
【既往歴】坐骨神経痛
【現病歴】約30年前から特に誘引なく、頚部の倦怠感、引張感、安静時痛が発生し、多数の整骨院や鍼灸院に通うも改善することは無かった。ここ数年で悪化をたどり日常生活にも支障をきたしている。
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【現症】触察にて頚部から肩部全体に筋緊張を確認できる。腰部の筋緊張を確認。特に僧帽筋下行部に強い筋緊張があり、本人も痛みを強く感じている。安静時痛有り。運動痛は無く、安静時に倦怠感、引張感を自覚している。両側同じように痛みを感じている。
【施術と結果】本症例は、思い当たる誘引はなく、約30年も前から悪化を辿っている。運動時痛はない事から筋肉の癒着などの怪我の後遺症ではないと判断した。
頚部付近に筋緊張が確認できるが、腰部に強い緊張があり、頚部と同時に下肢にこわばりを感じているため、腰部に根本的な要因があると考えた。開始前の腰部押圧深は約1.5センチだった。第3腰椎高位の腰部の筋緊張部位に側面から正中に向かって約5分間緩消法を行い、押圧深は約3cmまで軟らかくなった。結果、頚部の痛みは10から7(NRS改変)に軽減した。しかし施術者が思ったような結果では無かったので、腰部ではなく直接頚部の筋緊張部を施術する事にした。
両側同じ程度の緊張が見られるため片側から順不同で施術を開始した。第4、5、6頚椎高位の側面から正中に向かって両側を約5分ずつ合計10分施術を行い、結果として頚部の痛みは10から2(NRS改変)に軽減した。更に約15分かけて頚部の筋緊張を弛緩させていくと最終的に痛みは10から0(NRS改変)と消失した。
30年続く苦しみが消えた事が信じられないくらいに嬉しいと喜んでいただいた。