【患者】10代後半 女性
【主訴】腰が痛い。右足が痛くて松葉杖なしで歩けない 痺れて辛い
【既往歴】
【現病歴】特に誘因なく来院の一か月前頃から右腰部に痛みと右下肢全体に痺れが出現。発症よりおよそ半月で一回目の入院期間は5日間、MRIによる検査では異常なし、内臓にも異常は見られないとの事、痛みは酷くリハビリが出来る状態ではなく安静にしているのみであった。退院後に学校へは1週間1日1時間ずつの通学をするも学校での授業は立位で聴講、立てなくなり2回目の入院となった。2回目はリハビリは行うことが出来、20日の入院であった。立てるようにはなったが、痛みも痺れも残存し続け授業は立位での聴講が続いている。2年前に1度右膝を痛めた事があったとの事
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【現症】右腰部側面に痛みを訴え、右股関節から大腿部遠位部付近まで筋拘縮と思われる状態が確認でき痛みを訴えている。右下肢全体に痺れあり、仰臥位で痺れは消失するが、椅坐位で痺れは出現し時間が経つに伴い強度が増す状態。同席の整形外科医による施術前テストでは、SLR右0度 左75度であった。
【施術と結果】本症例は、右腰部と右下肢肢前面に痛みを訴えており、また右下肢全体的に痺れがある事から、右上前腸骨棘から右鼠径部の範囲に筋緊張があると推察し、触察にて筋緊張を確認した。
先ず、施術前テスト時に仰臥位を取っていた為、仰臥位にて同部位筋緊張部に緩消法を約2分施術し筋弛緩を確認。結果、同席医師により右SLR8°と可動域改善を確認。次に、上前腸骨棘から鼠径部付近の筋緊張には、腰部側面の緊張が要因と考え、立位に移行し押圧深約3cmを確認し、筋硬結と思われる状態を確認した。胸腰部左側屈により右腰部に痛みが出現する事により、右側屈のみで緩消法を施術し約4分で筋弛緩を確認。結果、腰部の痛みは、10から7(NRS改変)と小さくなった。同部位への施術を約12分継続し筋弛緩を確認。結果、主観により歩行は杖への依存がおよそ半減との報告を受け、同席医師によりSLR右40°の改善を確認。
その後、約5分施術を継続し歩行時の腰部の痛みは10から6(NRS改変)と小さくなり、約8分施術を継続し痛みが10から4(NRS改変)と小さくなり、同席医師により胸腰部屈曲時の指床間距離(Finger-Floor Distance:以下FFD)約50cm・同部伸展0度であることを確認した。続けて約7分の施術後、胸腰部屈曲に変化はなかったが、同部伸展20度と大きくなり、約6分施術を継続し「いつもは冷え性で冷えを感じているが、血行に変化を感じ体温が上昇してきたように感じる。」と報告を受ける。 さらに約2分施術を継続し、起立動作での杖が不要になり、胸腰部屈曲時FFDは0cmと大きく改善し、同部伸展は30°と改善された。続けて約10分施術を継続し、主観により右下肢の痺れは消失したと報告を受け、胸腰部伸展時の痛みは10から1(NRS改変)となった。歩行については、杖の使用の仕方を忘れたと報告を受け、杖を使用せず歩行が可能となった。右腰部の痛みは、10から2(NRS改変)となり、施術の時間は終了した。
【その他】本症例は、整形外科医である認定技術者秦祥彦先生の管理の元で行われたものであり、また途中経過を確認する際には、施術者が指先にて症状に変化が出るのではないか、と判断する程の筋弛緩があった時に、都度確認を取っていたものであることを報告する。